えいがきのえいが【90年代生まれ視点の映画レビュー】

90年代生まれ視点の映画レビュー 当ブログは個人的な意見をバカ正直に綴ったもので、映画の品質を保証するものでもありません。映画を否定しても、その映画に関わった人物を否定しているのではありません。例え人をバカにしても、それはその人を尊重した上での行為です。

仮面ライダーゴースト【この微妙な結果は・・・】


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 仮面ライダー鎧武では、平成ライダー1期の雰囲気を取り戻した。仮面ライダードライブでは、アツいストーリーを描いた。

 そして、その次のライダーは・・・ゴースト!

 ここに来て、誰にでも親しまれそうなライダーが登場しました。ゴースト=お化け=魂。偉人の魂を借りて、その偉人に応じた能力を使って戦うライダーです。
 シンプルな顔つきに、パーカーを着ているというなかなかおもしろい格好をしています。

 このライダーは、眼魂(アイコン)と呼ばれる、偉人の魂が宿る眼球型のアイテムをベルトにセットして変身します。その際、「パーカーゴースト」と呼ばれる偉人の幽霊が現れ、ライダーと一体化(というよりも、ライダーがパーカーを着用する)します。


 では、ライダーについてとかは置いといて、それ以外にも見ていきましょう。


 今作は『魂』がモチーフになるため、お寺や仏教っぽいものが舞台になります(ただし、明らかに仏教を表現しているわけでもなければ、宗派についても触れられないという親切ぶり)。

 この点で、早くも好き嫌いがきれいに分かれました。
 ホラーっぽい演出は無いのは確実として、宗教と絡める以外にも、主人公も敵も演出も、全体的に激しくハードロックが似合う作風も、『ゴースト』というテーマには合うのではないでしょうか。
 少なくとも私はそう思っていました。特報のあのダンスを見たせいでしょうかね。

 そんな期待の中、主題歌が氣志團だという情報と、主演の雰囲気を見て、「あー、そっちかー」という風に。
 今作で湘南乃風が主題歌をやればよかった気もします。
 その点で、放送前から少々マイナスイメージになってしまいました。


 さて、いざ第一話を観てみると・・・・・やはり個人的にはあまり好きな作風ではありませんでした。
 マーシャルアーツを使った戦法や、m.c.A・Tさんのボンバへッ変身音声はなかなかカッコよかったです。
 しかし、それ以外の点、つまり、キャラクターやストーリーがスーパー戦隊に似ていて、仮面ライダーらしさはかなり薄かったです。


 そして個人的に最大な欠点が、序盤のマコト兄ちゃん(=仮面ライダースペクター)が敵ポジションだった頃です。


 ここまで行くかというほど、全キャラクターがブレていて(特に主人公)、演出もよくわからなく感じました。

 主人公が東映マジック(説明無しで奇跡の力を使っちゃうアレ)を毎度やってきたり、キャラクターの葛藤が多すぎて、強気なキャラでさえナヨナヨしていて、その上かなり都合の良い人物に見えてしまいました。


 とはいえ、タケルがブーストしてからは少しずつマシになっていき、アラン様が痛風への道に踏み入れ始めるあたりからは大分ストーリーも楽しくなってきました(それでも個人的には微妙なラインでした)。

 というか、ネクロムがかっこよすぎて、それ目当てで観てたんです。ハイ。
 彼が出てこなければ、今作はウィザードと並んであんまり好きじゃないライダーになってました。


 しかし、結局最終回まで、臭い展開や似たような葛藤、ワンパターン化する展開、何回もアレするタケルに盾と化す最強フォームetc...

 とにかく、大量な微妙・ダメな部分や無駄なヶ所が多く、良い素材で微妙な作品を作ってしまうという、今年どこかで二回くらい見たようなものに仕上がってしまっていました。

 最終回(の一個前)の水平ライダーキックやら、アラン様の立つだけでカッコイイ感、マコト兄ちゃんのヤンキー臭さ等が良かっただけに、不完全燃焼なカンジが強かった作品でした。











ちなみにユルセンの正体に関しては十六夜久右衛門くらい落ち込みました。

後妻業の女【クズを見事に描いた作品】

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 大竹しのぶ豊川悦司etc...
 主要キャラクターはほぼ悪人。大竹しのぶ演じるザヨ゙ゴ小夜子は、『後妻業』と呼ばれる詐欺のプロ。

 今作は、そんな小夜子を軸として起こる出来事を描いたものです。


 今作、なかなか難しそうな雰囲気を出していますが、実際はものすごく簡潔に描かれております


 その理由として、キャラクターや設定の解説をするタイミングがよく考えられていることです。

 主人公が悪人という少数派の作風であるために、最初にオリジンから描くとお客さんが付いてこれなくなります。

 まずはお客さんを作品に慣れさせ(しかも手短に)、それから簡単にオリジンの解説を流す。
 それ以降はポンポンと話を進め(時折休息を入れつつ)、パタリと終わらせる。

 このリズムが、今作ではかなり良くできています。


 簡潔なストーリーに、主要な登場人物のほとんどがクズ。

 こう聞くとこう聞くと、アメリカのしょうもない(いい意味であれ悪い意味であれ)ホラー映画のようなイメージしか湧きません。実際、私は今作のこんな感じのレビューを読んで、そういうのを想像してました。日本語おかしい。

 しかし、いざ見てみると・・・。

 簡単な分ストーリーにあまり深みは無いものの、クズをしっかり明確にクズとして描いており、徹底的にリアリティを描いていました。
 しかも、単にそんなリアリティを描くばかりではなく、コメディ色も上手く混ぜ込んであり、観る人を一切飽きさせないように仕上げられていました。


 どこぞの探偵コミックス社原作のヒーローみたいなシリアスというワケでもなく、どこぞのイグアナみたいな寒いギャグというワケでもなく・・・。

 久しぶりにまともなエンターテイメントとして映画を観た気がします。エンターテイメントの意味が分からない。


 PG-12の為、ある程度アレな表現があるので、そういうのを受け付けない人や、知人と観るのは注意を。

 しかし、それこそクズを引き立たせ、クズを中心とした作品をしっかりと描く物となっているのです。


 後妻業で金を荒稼ぎする女、そしてその息子
 その女と手を組む結婚相談所の男
 女と男を追う私立探偵の男
 女の被害に合い、闇に飲まれていく二人の女性

 シンプルかつ、プロがかったクズの描き方、そして記憶に強く残るシーンの数々。

 感動?そんなのこの映画には無いですぜ。

仮面ライダー剣【従来の作風を守りつつ子供心をも掴む】

 平成ライダーシリーズ第5作目。  トランプがテーマ・仮面ライダーという職業・第一話で主人公が所属する組織が壊滅・etc…。これまでの平成ライダーの中でもかなり独特な作風となっている作品です。

オンドゥルルラギッタンデスカー! オレァクサムヲムッコロス! オデノカラダハボドボドダ!

 独特な作風に並んで多くの話題()も呼んだ作品ですが、ヒーロー作品としては王道を行くものになっています。

 簡潔でヒーローらしい描写は、多くの人が想像する"それ"そのもの。しかし、ゆっくりと進むミステリー仕立てでシリアスに繰り広げられるストーリーは、平成ライダーらしいものでした。


 複雑に絡み合う人間関係。裏切ったり裏切られたり。時に戦い、時に助け合う。

 「アンデッドを封印する」という共通の意思を持ちながら、考えの食い違いや志すものの違いによって起こるギクシャクした話の流れは見事なものです。

 流石にファイズのようなドロドロな昼ドラは繰り広げませんでしたが、協力と対立を繰り返すたびに深まる友情はとても素晴らしく表現されていました。


 さて、肝心なバトルですが、今作は敵怪人に「死」という概念が無い(つまり殺せない)というのがキモです。

 では、何をして怪人を倒すのか。封印です。  トランプをモチーフにしたカードを使って、体力が切れてベルトがパッカリ(見たら分かります)しているアンデッドにカードを刺し、封印をするというものです(ちなみに大抵のアンデッドはベルトパッカリの前に雑な爆発をします)。  これがなかなかおもしろく、封印されたアンデッドがライダーたちの心の中に語りかけたりすることもしばしば。  一見ハデな爆発ができない残念な設定ですが、うまく使うことで、人間とアンデッドの、言わばしょくぱんまんドキンちゃん的なのも作れちゃうんです、ハイ。


 恐らく、多くの人はアクションやストーリーなどのカッコイイ面よりも、オンドゥル語とかたい焼き名人アルティメットフォームとか、ネタの面の方が関心を持っていると思います。

 ではそうしましょう。

 まず一つ、オンドゥル語とは。  オンドゥル語とは、本編で第一話から最終話まで、終始殆どのメインキャラクターの滑舌が悪かったために、今現在までネタにされているもの。  第一話から早速、「本当に裏切ったんですか!」が、「オンドゥルルラギッタンディスカー!」というブッ飛ばし方をしたことで話題になりました。  なお、相川始役の人は、このオンドゥル語に賛成的で、自ら「オラァクサマヲムッコロス!(俺は貴様をぶっ殺す)」をネタにしたり、タデャーナサ・・・橘さんが歌う「rebirth」の歌詞の空耳、『辛味噌』についてDVDの特典のインタビューで話したりしています。  なお、このオンドゥル語は気にしない限り、それほど聞こえません。また、ところ構わずこのネタに触れると、ファンの逆鱗に触れてしまいますのでご注意を。

 次は、オンドゥル語ほど有名ではないものの、かつて視聴者にかなり強いイ ンパクトを与えた伝説のヒーローです。  その名は たい焼き名人 アルティメットフォーム

 作品の中間地点である、第三十話に登場した、たこ焼き屋の一人息子である相川始のドッペルゲンガーが、色々あって変身(変装)した姿。ニセムッコロとか言われたりも。  メイン武器はたいやき用の鉄板。ただのコスプレで、スペックは到底ライダーやアンデッドに及ばず・・・と思いきや、・・・・・。  ちなみにプレステのブレイドのゲームに出てくるそうです。


 今作は、現代(当時)らしいヒーロー像で子供の心をガッシリわしづかみしつつ、仮面ライダーらしい『周りには仲間がいるが、自分だけが特質であるが故に孤独な戦いを強いられる』という、大人もハマる作品に仕上げられています。
 ネタにされるが故、良さが薄くなってしまっている今作。  複雑な人間関係や葛藤の多い作風に対して、わかりやすく鮮明に描かれています。  ぜひ、時間があるときにゆっくり見てください。

アブゾオブクィィン フュージョンジャァァック ウェイ!ヴェッ‼ウェーイ!!!

スーサイド・スクワッド【いい素材でここまで酷くできる】

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 今作は、DCコミックスが2013年から開始したMARVELのパクリ『DCエクステンディッド・ユニバース』第3作目(チラシだとなぜか第二弾扱い)です。

 今度の主人公はヴィラン達!  アーカム収容所の大物犯罪者を寄せ集め、即興でチームアップ!!  その名は『自殺部隊=スーサイド・スクワッド』!!


 ネットに特報が公開された地点で、多く人に大きな期待を抱かせ、正直なところ『バットマン v スーパーマン』よりも盛り上がってました。  本編が公開される以前から、ファンアートやらコスプレがインスタグラム等で出回り、公開が近づくにつれ、ファンたちの期待は膨らんでいきました。

しかし蓋を開けるととんでもない作品であったのです。

 キャラクターのデザインとインパクトは最高の出来であるのは事実。  しかし、作品の内容は、そんな『キャラの良さ』とは釣り合わない出来だったのです。


 ペラペラで雑なストーリー。  前2作の『ダークナイトシリーズ』からずるずる引きずっている暗い作風から、コメディタッチの作風へのシフトチェンジを目指したものの、意図しすぎて気持ち悪い。  『ハリー・ポッターと賢者の石』を超えるキャラ紹介の長さとだるさ。  そしてキャラクターの使い方の悪さ。

 もう散々言われてます。ファンにさえも。  つまり「予告は傑作」というやつです。


 さてさて、次は私の意見です。

 つまんなかったです。

 こういう映画は、中盤になってからやっと「あー、確かにダメだこれ」というのになるのが普通ですが、今作は序盤から「あれ?」となります。

 そう、『起承転結』の『起』から観客の目の前で堂々と地雷をポンと仕掛けるという荒業を仕掛けているんです

 やけに長ったらしいハーレイ・クインのオリジンと、デッドショットのみんなが興味を持たない家族思いアピール。  そんなもんどうでもいいから、さっさとチーム組んで出撃してくれ!!そんな願いも叶わず、描かれていくのはどうでもいいシーンばかり。まるでこのブログみたいに同じことを繰り返します。


 そして何よりもびっくりしたのは、古代より生きる魔女(実際はメタヒューマンというカテゴリの一つ)、エンチャントレスです。
こいつ、メンバーじゃないです。

 彼女がチラシや予告の状態で登場するのは10分くらいしかありません(たぶん)。すぐに第二形態(というより、真の姿)に変わり、ヴィラン・・・いや、悪役・・・とにかく敵側になります。

 おいおいおいおい!!

 エンチャントレスの活躍を楽しみにして見に行った人はさぞキレたでしょう(わたしです)。なにせ、「スーサイドスクワッド・スクワッド」という言葉が出てくる以前に敵ポジションに=活躍すらしてないんですからね。

 まあこれは10,000歩譲って許しましょう。眠くなるほどのヴィラン個々の、やけに暗い物語も含めて。


 ところがどっこい、まだまだ酷い部分がたくさん。

 まず、『かませ犬』です。何もしないで、割とどうでもいい部分の説明のために殺される人が一名。何やってんだよまったくもう。

 それから、バットマンジョーカーのオマケ感と、高速のあいつの必要の無さ。

 さらにさらに、敵キャラの魅力の無さ。バットマンvスーパーマンと並んでます。

 そんでもって、焦らし方に何も感じないこと。焦らして焦らして・・・・・スッカー‼っと外しやがります。

 あと、ストーリーがペラッペラな割に、テーマが映画3本くらい作れそうなくらいに量があること。別にジャスティス・リーグは早く作らなくていいからさ、とにかくしっかり描いてくださいな。

 そして何よりも、ハーレイ・クインのキャラ崩壊。  いやまあ、元から崩壊しているんですけど、時折・・・というか、しょっちゅう普通の人間になるんです。  あいつからあんな言葉が出るのっておかしくね?あいつってこんなシリアスやっけ?  一応主人公級のポジションに立つくせに、デッドショットのゴリ押しや、エンチャントレスに対する嫌気のせいで、めちゃくちゃキャラのインパクトが薄れてるんです。  唯一の救いはあのコスチュームが出てくる事くらいかな?ハーレイは一貫して2011年以降のヤツがモチーフかと思ってたら・・・。

 いやぁ・・・・・・・
もったいない!!


 今作の総合的な評価を言うと、はっきり言ってつまらないです。  キャラクター以外は本当に退屈です(所々、キャラクターでさえ酷い箇所がありましたが)。

 この手の映画にはギャップは求められないですし、ただの凄腕がファンタジーな奴と戦うというのも飽き飽きします。  それに、何のヤマも成長も無いペラペラなストーリーは、バットマンvスーパーマンより悪い出来です。  そして、日本のテレビドラマみたいな、予算をケチった謎の説教タイムという、誰も得しないシーンには首を傾げました。


 本音を言うと、褒めたいという気持ちはあります。でも、褒める所がキャスティングだけでは何をどう褒めれば良いのか分かりません

 語らなさすぎ
 語りすぎ
 ヤマがない
 成長が無い
 テーマが多い
 キャラの描き方が薄い
 敵がみんな期待していたものと違う
 見せ場を予告編でほとんど流している
 ヴィランヴィランをやっていない
 ラストに近づくにつれ、音楽のノリが前作みたいに壮大になる
 全体的にベター
 ダメな部分は沢山出てきます。  普段私はここまで長くボロカス書きませんが、今回は、大きな期待を、とてつもなく大きく下回ったということになったので、こういう記事になりました。


 うーん。

 現地点で3作が公開、そして3作連続で微妙以下の出来。微妙な作品がほとんどのMARVELよりも、さらに微妙な作品を作り続けるDC。  そもそも3作すべてストーリーに対する高評価のしようがないというのはいかほどかと思います。  変にシリアスな前2作と、無理矢理コメディを混ぜた結果、ペラペラで無駄にシリアスが多い作品(要は前作以下の出来)となった今作。

 果たして、「彼ら」にジャスティスは輝くのか。

サントラ



原作(の中のひとつ)
スーサイド・スクワッド:悪虐の狂宴(THE NEW 52!) (ShoPro Books THE NEW52!)

スーサイド・スクワッド:悪虐の狂宴(THE NEW 52!) (ShoPro Books THE NEW52!)



東映のヒーロー大集合映画と似てて微妙なやつ

ドラゴンボールみたいで微妙なやつ

 フラッシュの動きにくそうなスーツはナシだと思いました。

映画レビュー:劇場版 動物戦隊ジュウオウジャー ドキドキサーカスパニック!


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 今作は、スーパー戦隊シリーズ40周年記念作品、動物戦隊ジュウオウジャーの劇場版です。
 40周年だけどもやっぱり枠は30分!!


 今作のテーマはサーカス。

 モナー大喜びのジューマンが主催のサーカスに見に来た5人(ザワールドはハブ)。しかし、突如彼らの目の前に現れたお笑い芸人によって子供達が誘拐されてしまう!
 ジュウオウジャーはお笑い芸人に立ち向かうが、彼に操られたキューブコンドルに敗れてしまうのであった・・・・。



 今作(というか、スーパー戦隊の劇場版全体)は劇場版と言っても、TV放送版とほんの10分弱長いだけです。
 ですが、たった10分弱尺が伸びただけで、ストーリーかなりの深みが・・・・あるわけもなく、ただいつも通りのジュウオウジャーです。
 いやまあ、戦隊自体が劇場版にしたところで、やることはあまりないでしょうし、僕自身が大画面で特撮を観たかっただけなので概ね満足です、ハイ。

 ついさっき書いたとおり、大画面で特撮を観たいという人はオススメ。いつものノリで、いつもとはほんのちょっとハデな演出で繰り広げられるアクションは、子供もおっさんも大喜びです。

 シンプルなストーリーにくっさい演出、なぜかジュウオウジャーの名前を知ってる子供達、大人も利用しろよっていうツッコミ。
 たった30分にギッシリ詰まったちょっとハデなジュウオウジャー、ぜひとも。



 いやあ・・・エンディングで踊る子供のお客さんかわいかった・・・・・。

シン・ゴジラ【異色、そして最強】

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 ゴジラ ファイナルウォーズより12年、2014年のGODZILLAの大ヒットにより制作された、
シン・ゴジラ
を紹介していきます。



 今作はエヴァンゲリオンでおなじみな2人、庵野秀明は総監督・脚本を、樋口真嗣が監督・特技監督を務めました。

 補足として、庵野さんは1983年に自主制作ののウルトラマンで総監督と主演の経験を、そして樋口さんは平成ガメラ3部作で特技監督の経験があります。まさに二人は特撮、怪獣作品界の大物と言えるでしょう
 とはいえ、樋口さんは実写版『進撃の巨人』の監督を務めた結果、原作ファン達からものすごく叩かれてしまっていましたが・・・。



 今作のテーマは『もしも現代にゴジラが現れたら』です。
 つまり、今作は「これまで一度も巨大生物に侵されてない世界」が舞台です

 突如現れた謎の巨大生物。
 彼がどのような理由で、どのような目的で動いているのか分からず、ただ逃げる人類。この時、国はどう動くのか、自衛隊はどのような対処を取るのか。

 そういう映画でした。



 総合的に個人的な感想を言うと、
かなりヤバイです。

 これまで感情豊かに作ることをコンセプトにされてきたゴジラ。しかし、今作の彼は、ほぼ全編『怒』と『哀』が入り混じった表情一つです。
 威圧感や恐怖をストレートに感じ、とても恐ろしかったです。

 また、庵野さんのミリオタ魂と樋口さんのガメラ特技監督の経験のおかげでしょう。自衛隊もかなりのもの。
 平成シリーズのような特殊部隊っぽいものではなく、1作目のリアルな自衛隊でした。
 虚構的存在・ゴジラを相手に、ただの火薬を撃ちつけて抗う彼ら。彼らの勇姿には圧倒されました。



 今作は、従来のゴジラとは大きく異なる部分があります。
 それは、ヒューマンドラマ性がほぼ無いことです。

 今作は、まずヒューマンドラマに重点が置かれておりません。主人公が政府の人間であるという地点でお察しできますね。
 見るとわかりますが、政府に重点が置かれているため、ゴジラについてずーーーーーーーーーーーーーーーーーっと話し合って模索しているという作風になっています。

 この点が人によってはものすごく良く見えたり、ものすごくゴミに見えたりするわけです。

 果たしてこれが怪獣映画と言えるのか?私にとってこの質問は、すんなりイエスと答えられるものでした。



 今作のゴジラの特徴として、「生物として完全な存在」というものがあります。
 これまで、マグロばっか食ってる奴以外は人類の並な兵器の殆どが利かないゴジラでしたが、今作では、この設定からさらに上乗せを行うことで、『生物として完全な存在=真の生命体=生態ピラミッドの頂点に立つ存在=神のような存在』という位置付けがされています

 不揃いの歯や飛び出た小さな眼球などが、このシンのゴジラの「生物として完全な存在」という事を物語っているというわけですね。




 正直、ネタバレを避けたいがために、何も語ることがありません。

 とりあえず、個人的な感想と客観的な目を交えて考えていきましょう。



 今作は初代ゴジラをしっかりとリスペクトした上で、ドキツいアレンジがされ、今までにない視点で描かれることで、シリーズではかなりの異色をぶっ放す作品となっています。

 個人的にはアリです。今では初代でさえ「かわいい」と言われるまで人類を味方してきた彼なので、いっそこれくらいエグい作品を作ってもらわないと、破壊王ゴジラとしての栄光は戻らないですしね。
 それに、初代のように怪獣単体で、あれだけ人類に絶望感を与えるような作品は、VFX盛んになってからは、全くと言っていいほど無いときてます。この絶望感を現代の技術でその絶望感が見たい!そんでもって日本らしい不自然な動きで!そんな私にはぴったりの作品でした。

 対して、人類の味方だったころやVSシリーズ、ミレニアムシリーズのファンにとっては微妙だったりクソだったり。とりあえず、初代の雰囲気に関心を持っていない人にとっては、「良かった」という感想は叩いても絞っても出てこないと思います。 他の怪獣が出てこなければ、最新鋭の技術を駆使した飛行船やブラックホールを生成する技術もありません。悪い言い方をすれば、第5作目以降の作品すべてにケンカを売るような作品なんです、コレ。場合によってはキレる人もいますよ。例えば映画.comとか。



 そして、今作の最も意見が分かれる部分がコレ。ゴジラがフルCGという点。
 なんかいやーな予感がする人が多いですね(私もちょっぴり)。なんでって、わが国では、今までに短期間の制作のくせしてCGを加えたちゃったせいで、しょっぼい映画になったのが山ほどありますからね。

 ですが今作は安心(日本では比較的に)できます。長期間(日本では比較的に)の編集期間を設けられ、じっくり(日本では比較的に)制作されているので、上出来な(日本では比較的に)CGになっています。
 ただそこに問題が一つ。今作のゴジラは設定上、動きがぎこちないのです。
 「ぎこちない」というのは以下の通り、

・腕が動かない
・表情が硬い
・カク付いた動きをする
・ところどころ不自然な動きをする

 さて、そんな「ぎこちない」をどう解釈するかは人それぞれ。
 私は腕が動かないという点以外は『ミニチュアらしさ』や『特撮らしさ』、いわゆる『作り物感』を出したかったのではないかと考えています。よって私個人としては、この動きはむしろプラスのものになっています。

 キャッチコピーが「現実対虚構。」というだけあって、今作ではゴジラをファンタジーな存在として描きたかったのでしょう
 それを最も相手に伝えることが容易なのは、もちろん「ぎこちなさ」です。

 こう考えてみると、この「ぎこちなさ」の見方は大きく変わるのではないでしょうか。そもそも戦車や航空機もクオリティでゴジラの動き方がわざとなのは想像できなかったんですかね。という愚痴。



 今作は従来のゴジラ(ハリウッド版除く)を目的で見ることはお勧めできません。「もしゴジラが現代に現れたら」というテーマに並び、「現代で『恐怖』となるゴジラのデザインは何か」「現代の技術でゴジラを作る」などなど、とにかく『現代』が重視された作品です。「『古き良き時代』なんてクソくらえ」「これが僕らの作るゴジラだ」という、要するに『新しいゴジラ』=『シン・ゴジラ』というわけです。
 これを受け入れることができないという方であれば、「良い」以上の評価はできないと思います。

 みんなにお勧めしたいけど、みんながみんな喜べる作品ではない。古き良き特撮が好きな人には向かない。日本製のCGをすぐ批判する人には観せたくない。内容を話すとすべてがネタバレになる。
 ・・・・・・なんともまぁ・・・・・・。良かれ悪かれ、とんでもない映画作りましたよ・・・・・・・。もっかい観たい・・・・・・。


ゴジラ

ゴジラ

ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ

ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ

シン・ゴジラ音楽集

シン・ゴジラ音楽集

デッドプール【意外に大人しめ?】


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 待望の実写化・・・と思いきや既出。アメリカで大人気、日本でもじわじわ知名度が上がっていく(アンチ)ヒーロー。
 ゴミから生まれたサイコパスな衛兵。その名はデッドプール

 今回は
デッドプール(Deadpool)
について話していきます。



 今作は、アントマンと並んでに前々から実写化が噂になっていたものです。
 ウルヴァリンシリーズ第一作目、『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』に登場した結果、見事なゴミと成り下がったことで物凄い非難を受けたことで有名なデッドプールたんが主人公ですね。

 しかも、彼の役はなんとゴミと同じ人という異例のキャスティング
 でも、このキャスティング大正解です。そもそも、あれは内容がゴミでも、キャスティング自体は成功してるんです。別世界だろがっていう文句を言いたい人もいると思いますが・・・慣れますよ。一瞬で。



 R指定のアメコミ映画といえば『ウォッチメン』や『シン・シティ』、『キック・アス』というものが出てきます。しかし、いずれも万人ウケを狙うことができず、日本ではそこまで盛り上がることがなかったですね。

 しかし、今作は日本でもある程度人気になっている上に、X-MENという踏み台があるので、ある程度は良い反応をしてもらえたのではないでしょうか。
 その証拠か、劇場に行くとR指定というものに引っ張られてきた思春期とモゴモゴミーハーさんがたくさんいましたよ。テッドで懲りなかったのかな。



 今作の良いところ。

 まず、アクションがおとなしいことですX-MENシリーズ御用達のアンバランスなアクションシーンではなく、キャプテン・アメリカ2のようなカンジのジャンルで安心しました。

 ヒーリングファクターや超人的(超人か)な動きができるものの、結局はそんなに上位に立つほど力のあるキャラクターではありません。これ、ほとんどのミュータントに言えますね。
 良い選択ですよ。原作では宇宙に行ったりとやりたい放題してますが、まあ実写版はこんくらいで十分です。



 今作、R指定なだけあって、ある程度のゴア表現やエロティックな表現がありますデッドプールならではでしょうか、他のアメコミにはないような表現で、かなり楽しめました。

 ただ、今作はそういうのが好きな人以外も来るのを考慮したのか、かなりゆるめになっています。
 もうちょっと期待して、腹を切られて中身が出てきたり、デップーがグチャグチャになってるのに平然とおしゃべりするようなシーンを楽しみにしてました。しかし、そのようなシーンは見られませんでした。残念。



 今作、かなりの興収を得ているようです。多くのファンの期待をキャッチでき、高い評価を得ているのでしょう。

 しかし、私個人としての作品の評価はメチャクチャ面白かったというわけではありませんでした。

 確かに、作品は面白いです。単純明快なストーリーに、スピーディでリズミカルなバトル、時折スパイダーマンをリスペクトしたようなアクションは楽しかったです。

 ただ、私はそれら以外のことに対しての期待値を高く持ってしまっていたため、満足までには至りませんでした。
 上で書いた通り、ゴア表現やエロティックな表現に強い期待を持ってしまうのはちょっと今作のターゲットとなる層とは違うようです。



 本人がわかりにくいので、良かったところ、悪かったところをまとめてみます。

良かったところ

  • 原作をしっかりと守ったキャラクターデザイン(特にコロッサス)。
  • 見やすくてスピーディ、リズミカルなアクション。
  • ゴミな方のデッドプールをちょこちょこネタにするところ。
  • 単純明快で雑味も複雑さもないストーリー。
  • ミュータントの存在があること。

悪かったところ

  • ゴア表現、エロティックな表現の弱さ、少なさ。
  • シリアスなシーンが少し多い。
  • クライマックスに一部アンバランスなシーンがある。
  • あまりハジけていない。



 続編、もしくはウルヴァリン3もR指定の作品となるのであれば、もう少しゴア表現はあっても面白いのではないでしょうか。
 デッドプールウルヴァリンは、そういう時こそキャラクターが色濃く映えるのではないでしょうか。ぜひともノリで来たような観客を置いてけぼりにするような作品に仕上げちゃってください・・・・・・・・ディズニーに捕まる前に・・・・・・・・。
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デッドプール:モンキー・ビジネス (ShoPro Books)

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Deadpool (輸入版:北米)

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デッドプールの兵法入門 (ShoPro Books)

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