シン・ゴジラ【異色、そして最強】
ゴジラ ファイナルウォーズより12年、2014年のGODZILLAの大ヒットにより制作された、
『シン・ゴジラ』
を紹介していきます。
今作はエヴァンゲリオンでおなじみな2人、庵野秀明は総監督・脚本を、樋口真嗣が監督・特技監督を務めました。
補足として、庵野さんは1983年に自主制作ののウルトラマンで総監督と主演の経験を、そして樋口さんは平成ガメラ3部作で特技監督の経験があります。まさに二人は特撮、怪獣作品界の大物と言えるでしょう。
とはいえ、樋口さんは実写版『進撃の巨人』の監督を務めた結果、原作ファン達からものすごく叩かれてしまっていましたが・・・。
今作のテーマは『もしも現代にゴジラが現れたら』です。
つまり、今作は「これまで一度も巨大生物に侵されてない世界」が舞台です。
突如現れた謎の巨大生物。
彼がどのような理由で、どのような目的で動いているのか分からず、ただ逃げる人類。この時、国はどう動くのか、自衛隊はどのような対処を取るのか。
そういう映画でした。
総合的に個人的な感想を言うと、
かなりヤバイです。
これまで感情豊かに作ることをコンセプトにされてきたゴジラ。しかし、今作の彼は、ほぼ全編『怒』と『哀』が入り混じった表情一つです。
威圧感や恐怖をストレートに感じ、とても恐ろしかったです。
また、庵野さんのミリオタ魂と樋口さんのガメラ特技監督の経験のおかげでしょう。自衛隊もかなりのもの。
平成シリーズのような特殊部隊っぽいものではなく、1作目のリアルな自衛隊でした。
虚構的存在・ゴジラを相手に、ただの火薬を撃ちつけて抗う彼ら。彼らの勇姿には圧倒されました。
今作は、従来のゴジラとは大きく異なる部分があります。
それは、ヒューマンドラマ性がほぼ無いことです。
今作は、まずヒューマンドラマに重点が置かれておりません。主人公が政府の人間であるという地点でお察しできますね。
見るとわかりますが、政府に重点が置かれているため、ゴジラについてずーーーーーーーーーーーーーーーーーっと話し合って模索しているという作風になっています。
この点が人によってはものすごく良く見えたり、ものすごくゴミに見えたりするわけです。
果たしてこれが怪獣映画と言えるのか?私にとってこの質問は、すんなりイエスと答えられるものでした。
今作のゴジラの特徴として、「生物として完全な存在」というものがあります。
これまで、マグロばっか食ってる奴以外は人類の並な兵器の殆どが利かないゴジラでしたが、今作では、この設定からさらに上乗せを行うことで、『生物として完全な存在=真の生命体=生態ピラミッドの頂点に立つ存在=神のような存在』という位置付けがされています。
不揃いの歯や飛び出た小さな眼球などが、このシンのゴジラの「生物として完全な存在」という事を物語っているというわけですね。
正直、ネタバレを避けたいがために、何も語ることがありません。
とりあえず、個人的な感想と客観的な目を交えて考えていきましょう。
今作は初代ゴジラをしっかりとリスペクトした上で、ドキツいアレンジがされ、今までにない視点で描かれることで、シリーズではかなりの異色をぶっ放す作品となっています。
個人的にはアリです。今では初代でさえ「かわいい」と言われるまで人類を味方してきた彼なので、いっそこれくらいエグい作品を作ってもらわないと、破壊王ゴジラとしての栄光は戻らないですしね。
それに、初代のように怪獣単体で、あれだけ人類に絶望感を与えるような作品は、VFX盛んになってからは、全くと言っていいほど無いときてます。この絶望感を現代の技術でその絶望感が見たい!そんでもって日本らしい不自然な動きで!そんな私にはぴったりの作品でした。
対して、人類の味方だったころやVSシリーズ、ミレニアムシリーズのファンにとっては微妙だったりクソだったり。とりあえず、初代の雰囲気に関心を持っていない人にとっては、「良かった」という感想は叩いても絞っても出てこないと思います。 他の怪獣が出てこなければ、最新鋭の技術を駆使した飛行船やブラックホールを生成する技術もありません。悪い言い方をすれば、第5作目以降の作品すべてにケンカを売るような作品なんです、コレ。場合によってはキレる人もいますよ。例えば映画.comとか。
そして、今作の最も意見が分かれる部分がコレ。ゴジラがフルCGという点。
なんかいやーな予感がする人が多いですね(私もちょっぴり)。なんでって、わが国では、今までに短期間の制作のくせしてCGを加えたちゃったせいで、しょっぼい映画になったのが山ほどありますからね。
ですが今作は安心(日本では比較的に)できます。長期間(日本では比較的に)の編集期間を設けられ、じっくり(日本では比較的に)制作されているので、上出来な(日本では比較的に)CGになっています。
ただそこに問題が一つ。今作のゴジラは設定上、動きがぎこちないのです。
「ぎこちない」というのは以下の通り、
・腕が動かない
・表情が硬い
・カク付いた動きをする
・ところどころ不自然な動きをする
さて、そんな「ぎこちない」をどう解釈するかは人それぞれ。
私は腕が動かないという点以外は『ミニチュアらしさ』や『特撮らしさ』、いわゆる『作り物感』を出したかったのではないかと考えています。よって私個人としては、この動きはむしろプラスのものになっています。
キャッチコピーが「現実対虚構。」というだけあって、今作ではゴジラをファンタジーな存在として描きたかったのでしょう。
それを最も相手に伝えることが容易なのは、もちろん「ぎこちなさ」です。
こう考えてみると、この「ぎこちなさ」の見方は大きく変わるのではないでしょうか。
今作は従来のゴジラ(ハリウッド版除く)を目的で見ることはお勧めできません。「もしゴジラが現代に現れたら」というテーマに並び、「現代で『恐怖』となるゴジラのデザインは何か」「現代の技術でゴジラを作る」などなど、とにかく『現代』が重視された作品です。「『古き良き時代』なんてクソくらえ」「これが僕らの作るゴジラだ」という、要するに『新しいゴジラ』=『シン・ゴジラ』というわけです。
これを受け入れることができないという方であれば、「良い」以上の評価はできないと思います。
みんなにお勧めしたいけど、みんながみんな喜べる作品ではない。古き良き特撮が好きな人には向かない。日本製のCGをすぐ批判する人には観せたくない。内容を話すとすべてがネタバレになる。
・・・・・・なんともまぁ・・・・・・。良かれ悪かれ、とんでもない映画作りましたよ・・・・・・・。もっかい観たい・・・・・・。
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