えいがきのえいが【90年代生まれ視点の映画レビュー】

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メアリと魔女の花

借りぐらしのアリエッティ
思い出のマーニー
米林宏昌監督長編アニメーション作品第三作目、及びスタジオポノック製作長編アニメーション作品第1作目。
メアリと魔女の花


ピアノミニアルバム メアリと魔女の花


 スタジオジブリの長編アニメーション制作部門の解散を期に立ち上げられた、スタジオポノックが初めて制作した長編アニメーション作品。


 過去に2作、苦しさと切なさが複雑に描写されたアニメーションの監督をしてきた米林宏昌

 2017年夏、ついに米林監督作品最新作が公開しました。

 ・・・なんとその作品は、これまでとは方向性が全く異なる、壮大なファンタジー作品でした。



 何をやっても失敗ばかりのメアリ。
 ある時、7年に一度しか咲かないと言われる花『夜間飛行』を見つける。
 メアリは夜間飛行の不思議な力により、一夜限り魔女になれる力を得るのであったーーーー。


 今作、ポスターを見てわかる通り、かなりジブリの遺伝子を受け継いでいます。

 デザインの方向性や、人物の感情表現・動き方はとても繊細で、まさしくジブリでした。

 ただ、全体的なストーリーの流れは、ジブリとは違うものを感じました。


 どういうことかを女の子キャラクターで考えてみましょう。

 まず、ジブリは「女性らしいあどけなさ」を表現する傾向にあります。
 子供であれど清掃でミステリアスな部分を持ち、大人の女性っぽい雰囲気を少し抱えているケースが多いです(例外として猫の恩返し崖の上のポニョ)。

 対してスタジオポノック、今作で断言してしまうのはまだ早いと思いますが、明らかに「子供っぽいあどけなさ」が表現されていました。
 無垢で無邪気な、純粋な女の子として描かれている印象です。


 そして、ストーリーの質に関してですが・・・・。ジブリへの敬意を感じつつも、米林宏昌の描きたい作品に、スタジオポノックが描きたい作品になっていたと思いました。
 宮崎駿というリミッターが無くなり、宮座という補正が無くなり、ほぼゼロからのスタートでありながらも、こんなにもまで根のある作品が出来上がったことにはとても驚きました(某戦記を眺めつつ)。


 上でも書いた通り、今作はかなり明るく前向きな作風になっています。
 前2作のような「辛いことばかりでも前向きに生きていくよ」というものとは、全く方向性が違います。

 へぇ、米林さんってこんなのも作れるんだ。という感じ。
 壁にぶつかっても突き破る。何があっても心は折れない。
 こういう作品でした。


 女の子が主人公のファンタジー。
 風の谷のナウシカ魔女の宅急便猫の恩返し千と千尋の神隠し・・・。他、ぶっちゃけありえない、弓矢使う人が主人公じゃないやつetc...

 ありたきりなジャンルではありますが、ずっと前向きで、終盤で交通事故で死ぬような内容ではないという点では、オリジナリティに満ち溢れていました。

 なによりも、メアリの動き方がいちいちおもしろく、40代のおっさんが描いたとは思えないほどぴょんこぴょんこかわいらしく動く姿はとても癒やされました。


 多少の粗を感じる部分はありますが、新たなスタートを記念する作品としてはとても良い作品ではないでしょうか。

 第二弾、第三弾と作品を重ねることで、米林宏昌及びスタジオポノックらしさという、ジブリらしさという概念ナシの作品づくりができる将来性を感じる。そんな作品でした。


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米林宏昌画集 汚れなき悪戯
新訳 メアリと魔女の花 (角川文庫)
メアリと魔女の花 ビジュアルガイド
新訳 メアリと魔女の花 (角川つばさ文庫)