えいがきのえいが【90年代生まれ視点の映画レビュー】

90年代生まれ視点の映画レビュー 当ブログは個人的な意見をバカ正直に綴ったもので、映画の品質を保証するものでもありません。映画を否定しても、その映画に関わった人物を否定しているのではありません。例え人をバカにしても、それはその人を尊重した上での行為です。

マンハント【クソ映画と見るか、バカ映画と見るか】

映画「マンハント」オリジナル・サウンドトラック


ベッドで目覚めると、隣には女性の死体。
突如濡れ衣を着せられ、警察に追われる身となった中国人の弁護士のドゥ・チウ。
そして彼を追う刑事、矢村。

過去に高倉健主演で映画化された、小説『君よ憤怒の河を渉れ』を、アレンジを加えて再映画化!!
ちなみに当人は原作も高倉健主演の方も目を通していません。


事件に隠された巨大な陰謀!!
爽快なアクション!!
人気俳優多数出演(どうでもいい)!!
そんな今作について書いていきます。




今作は日中合同製作・・・・ではなく、あくまでも日本ロケを行った中国映画ということに驚き。
見たあとに気づきました。
そりゃあ、ああなりますわ。


某映画総合サイトでは、評価が3を切り、何より目立つ意見が、「内容が薄い」です。

そりゃもう、めっちゃくちゃうっすいです。
去年のキングコングなんか軽く飛び越えるくらいうっすいです。

なんかちょいちょい各キャラの重い過去的な何かが描かれますが、それもこれもみーーんな薄いです。




ただですよ。
それつまり、ハリウッドに大金出資しまくってる中国が、ハリウッドらしい何もかもがスッッッカスカなアクション映画のノウハウを受け継いだ結果。
そ れ が 今 作 な の で は ?


これ・・・・ただ単に宣伝の仕方が悪すぎて、本来ターゲットじゃない客層を集めてしまっただけではないか?


ターゲットの客層・・・・そりゃもう、頭に飛行機をパイルダーオンするロボとか、肘からロケットエンジンぶっぱしてパンチするロボとか、タンカーでKAIJUをぶん殴るロボとか、口にに手を突っ込んではらわた引きずり出すゴリラとか、そういうの大好きな人達なんでしょうね、今作。


ええ、私です。紛れもなく私です。
この映画、大好きです。




そんなスカスカ内容のクソ映画アクション重視のアトラクション映画な今作、中国制作の映画なだけあって、なかなかのステレオタイプなジャパニーズが描かれています。ちゃんとなんか違います。それもGood!!
えぇえぇ、褒めてますよ、真面目に。

煽りでもなんでもなく、ホントにそういう要素があるからこそ、海外映画って面白いんですよ(日本ロケですけどね)。逆に言えば、そういうの嫌いな人はとことんダメってワケですけどね・・・。

舞台が大阪なのに大阪弁を話す人物がいない!!
なんの告知もなく始まる奇妙なゲリラ祭り!!
謎ディスコ!!
そして何より!!!小物ヤクザ!!!!

ええもう最高です。


わかってますよ。私が相当意味不明なこと言ってるのは。
でも、今作はそういう物好きな人(自称すると恥ずかしい)向けの映画なんです。




今作は装弾数をガン無視したドンパチやFORCE OF KATANA SAMURAI NINJA SPIRITS、肉弾戦など、アメリカ映画のノウハウを受け継いだようなアクションもさながら、事件を中心に複数のグループが絡み合い、敵同士なんかいろいろ起きるという、ガンダムじみた要素も今作の特徴。

まあ、薄いんですけどね。


とにかく、そういう要素のバカらしさが無駄におもしろく、特に監督の娘さんとその相棒の二人組アサシンねーちゃんズのくだりは、ベターでありながらも、ムリヤリJAPANのJHOを意識した作りになっていて、かなりの観ごたえです。面白いかどうかは別の話。
血糊の表現も上手く、程よい迫力が出ていました。


っていうか、このガンダムじみた展開の至る所に伏線が乱雑にバラまかれていて、「え゙っ?!こんなの伏線にしてたの?!」ってのがちょこちょこと。
それに、作品の本筋にはあってもなくても変わらないものばかり・・・。


ただでさえ本筋が箸休めレベルな内容なのに、さらにこういう箸休めを入れることにより、嘘っぱちが多く、くど目なアクションもリラックスしながら見ることができます。




これまで変なところを褒めてきましたが、ここで普通に良かった点を書いていきます(先に書けと思ってます)。


一つ。

ほんの一つですが、全体通して良かった点がありました。


リズムがいいんです。今作。

退屈なシーンがほとんど無いんです。


今作、ちょいちょいダイジェスト的な描写を取り入れることによって、アクション映画によくある(個人的な意見)「やっといたほうがいいが、長すぎると退屈になるシーン」を、うまーく避けられていたと思います。
ただでさえ内容が薄いので、そういうシーンはあるだけでもマイナス要素となるはずですが、要点だけ抜き出して、終わりをバッサリ簡略化してしまうことで、「このシーンいらねぇな」と思わせる前に次の場面に変えることができていました。
ここはホントに素晴らしいです。

また、会話→アクションのバランスも程よく、この2つにあまりメリハリをつけないことにより、スカスカな内容でありながらも、違和感をあまり感じないように感じました。

アクションに飽きてくる終盤には、ターミネーターゴールドフィンガーのパクリっぽいシーンが。
テンションが急降下しかけたタイミングでまた盛り返す。いいですよね、コレ。

出火原因が謎の火災も楽しみの一つ。


ただ、このリズムの良い展開が、逆にマイナスにもなっているんです。


スカスカなストーリー
+
ガンダム的展開
+
リズミカルな展開


すなわち、
ストーリーが頭に入らない。


・・・・というか、何か重要な事で、何かどうでもいい事なのかが分かりにくいです。


うっすい内容をポケーーっと観ていると、途中で誰が何をやってどうなっているかがさっぱりになります。

クライマックスになってようやく思い出したものの、時既に遅し。
クライマックスから先は、それまでの倍以上うっすい話になります。




今作を楽しく観る方法は、
『いかにしてクソな部分を逆に楽しむか』
です。要はドM向け。

「アレよりはマシ」という精神で観ると、私みたいな人でなくても、案外楽しめるかもしれません。

ただ、少なくとも『いい映画』ではないです。私にとってもです。
『ペラペラのしょうもないアクション映画が好きな人は観ろ』という感じです。

全体的な評価としては酷いもんですが、部分的に考えてみると、なんだかんだ力の入った映画だとは思いました。


映画「マンハント」オリジナル・サウンドトラック

映画「マンハント」オリジナル・サウンドトラック

君よ憤怒の河を渉れ (徳間文庫)

君よ憤怒の河を渉れ (徳間文庫)

ワッショワッショワッショイ