えいがきのえいが【90年代生まれ視点の映画レビュー】

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マーベル・シネマティック・ユニバースに思うこと

The Road to Marvel's Avengers: Infinity War - The Art of the Marvel Cinematic Universe (Road to Marvel's Avengers - Infinity War)

アベンジャーズ インフィニティ・ウォーの公開が間近となり、その次回作、アントマン&ワスプの宣伝も始まってきた、今年で10周年のマーベル・シネマティック・ユニバース。

アイアンマン(2008)の頃の地味さは嘘のよう(日本ではハルクの方が先でしたが)、オタク向けシリーズから、今では多くのファンからの支持を得ているシリーズとなっています。

現在名古屋ではマーベル展が開催されていて、私もそこに行ってキャプテンアメリカのスーツを見てハァハァしていました。


2012のアベンジャーズ以降どんどん勢いを増し、頑固なSONYピクチャーズすら黙らせてしまったこのシリーズ。

2回目になってしまいますが、スパイダーマン公開からまた心境も変わっている気もしますし、いい機会なのでMCUについて再び書いていきたいと思います。





2008にアイアンマンからシリーズが始まり、クソか微妙を連発した後、キャプテンアメリカ2でアクションスリラーとして素晴らしいものを世に送ってくれました。

しかし、それより後は、クソは無くなったものの、微妙なものばかり。

強敵ウルトロンとの戦いを描くアベンジャーズ2も前作の焼き増しのような内容でしたし、アベンジャーズの分裂を描いたシビル・ウォーもそれほどシビル・ウォーしていなく、微妙な出来になっていました。

この頃以前からほのめかされていた今度公開のアベンジャーズ3への期待値が下がっていく中、スパイダーマンブラックパンサーという素晴らしい映画を作り上げ・・・・・そして今に当たります。




振り返ってみると、とんでもない規模でありながらも、作品を総合して考えてしまうと大変微妙なシリーズです。

これだけ続けてしまうと、やはり個々の作品ごとに世界観にバラツキがあり、とても同じ世界のストーリーとは思えないものが多々あると思います。

では、なぜこんなにも微妙なシリーズが10年も続けられているのでしょうか・・・。


考えてみると、これってつまり、『MCU』だから観ている、こういう人が多いのが原因の一つだと思います。

たとえ作品からおもしろくなさそうな臭いがプンプンしていたとしても、どこかしら期待して観に行ってしまうんでしょう。

それに、どれだけクソな内容だったとしても、各作品に必ずこれからの展開の伏線があるワケなので、そういうのを早く見たい!見逃したくない!!ネタバレされたくない!!!っていう感情になってしまうのもまた原因の一つなんでしょうね。


こうやってファンを
『観に行く→微妙→しかし、いやらしい伏線のせいで次回作への期待値が上がる→観に行く・・・・』
の悪循環に陥れることに成功した事が、シリーズの継続に繋がっているのではないでしょうか。

そうでもなければ、超マイナーヒーローチームや、たったの10年で三度もリブートをしてしまったスパイダーマンが売れるハズがありません。


まさに継続は力なり。
賭けと言わんばかりに制作されたアイアンマンが運良く成功し、見事なスタートダッシュの後に見事ズッコケる(評価的な意味)ものの、アベンジャーズまで粘って・・・・。そしていつの間にやら何を出しても成功してしまう程のシリーズに。
現在ではもはや007やスター・ウォーズのネームバリューに負けないと言っても良いでしょう。
っていうよりも、たったの10年で(ブラックパンサーまでで)映画を18本とドラマを計○○シーズン(数えたくない)も作ってしまうというのはもはや狂気としか思えません。

また、継続したことによって、映画業界そのものを動かしてしまったことも事実。
「異なる作品を同じ世界観で描く」という作品作りの先駆けです。
後を追うように、いくつかの映画会社は既にこの作品作りに取り組んでいます。

ワーナーはゴジラ(2014)の公開後、テコ入れでモンスター・バースを立ち上げ、2017のキングコングを公開、今後2作公開予定でやや順調の足取り。

ユニバーサルはダーク・バースを立ち上げ、マミー(2017、副題略)を公開するも、大コケでで絶賛瀕死中。ふざけんな。

そしてワーナーがもう一つ、MCUより先に企画していたのに、それの金魚のフン扱いされている(実際そうですけど)、DCエクステンデッド・ユニバースは、これまでに5本の映画を公開し、ほとんどが興収だけはいい結果となり、無理やりなテコ入れが目立つものの、なかなかの良い足取り。


ダーク・ユニバースは論外としても、ワーナーのユニバースはMCUのスピードにこそ全くついて行けていませんが、どちらも良い感じにスタートダッシュができていると思います。




このシリーズの個人的に気に入っている事は、他作品のヒーローとのタイアップを無理にやろうとしないという事です。

スパイダーマンではアイアンマン、ソー3ではDr.ストレンジとハルクのタイアップがありました。
アイアンマンもハルクも、無理やりなこじつけはせず、しっかりとした理由がある形で、程よく脇を固めて活躍してくれます。オマケ程度で登場するストレンジも、ちゃんと本筋に関わる形で登場しますし、登場シーンでさり気なく世界観を広げてもいます(そんな気がするだけ)。

スパイダーマンを観る前の私みたいに「メインでもないのに他作品のキャラクターが出しゃばんなよ!!」と思ってしまっていても、タイアップするシーンは印象的で後の展開に深く関係するので、結局「イイシーンダッタナー」ってなるんです。




このシリーズ、個々の作品ごとであれば、色々褒めたい所はあります。
しかし、シリーズ全体としてしまえば、不満が、わんさか出てきます。

上で書いたように、各作品ごとに世界観にバラツキがあったり、大物であろうと大抵が使い捨てヴィランになってしまっていたり、アイアンマンをひいきしすぎていたり。


特に使い捨てヴィランについて。

ブラックパンサーのキルモンガーやスパイダーマンのヴァルチャーという『悪者としての誇り』を持つ者や、ウィンターソルジャーというキャラクターそのものに魅力のある者など、良い使い捨て(凄く嫌な言い方ですね)はいます。

しかし、ただ単に敵でしかない、つまり主人公にとって壁だとか目標だとかにならならず、クライマックスやオープニングでぶっ倒されるだけの存在になっているのがちょこちょこいるんです。

強大なパワーを持つスーパーヴィランという要素だけでも、それなりにインパクトはありますが、『それなり』止まりで終わってしまい、「結局お前は何だったんだ」というカンジで終わってしまいます。
ましてや、既に19作も映画を公開させてしまえば、ヴィランが『惑星がごはんの宇宙人』だろうが、『腕からビームを出せるだけの小物』だろうが、与えられるインパクトは同じになってしまっているでしょう。

元々のネームバリューや、キャラクターの過去と動機にインパクトがなければ、かのサノスだってただの紫色のムキムキハゲにしか見えません。
だからこそアベンジャーズ3の予告で、サノスの過去に何かしらがあったかのような、思わせぶりなシーンがあるんですね。


これからのMCUに求めることは、登場させるスーパーヴィランを、如何にして上手く料理し、上手く長持ちさせ、上手く殺すかです。

アメコミはヴィランにもヒーローと同等の魅力があるキャラクターが多いです。
だからこそ、使い捨てにしてしまうにはもったいないんです。
これまでのシリーズにも、「ここで殺すのか ・・・」っていうヴィランはいくつかいます。
しかも、なんとも可愛そうな死に方をするヴィランも少なくはなく、そういうのは観る度あまりいい気にはなれません。

使い捨てとはいえ、出るからにはちゃんとカッコよく死んでほしいし、それ以前にそう簡単に死んでほしくないんです。




このシリーズ、好きか嫌いか問われたら「好き」と答えます。
ただ、面白いか、オススメかと問われると、「いいえ」と答えます。・・・で、それに加えて「これからどんどん作品が増えて余計シリーズに触れにくくなるから、観たけりゃ今のうちにバンバン観てけ」と言います。


ビッグネームなシリーズですが、正直、そうそう興味のない限り別に観なくてもいいよってカンジです。

特別内容の濃い作品もあるわけではないですし、シリーズで一番好きなキャプテンアメリカ2だって、別にこれまでに観てきた映画でダントツおもしろいワケではないです。

実際、そこまで良くない作品をゴリ押しで公開し続けて今に至るワケですから、当然シリーズを順にたどって観るならば拷問みたいなもんです。

また、わざわざシリーズ全部観なくても、ネットでネタバレが溢れかえっているわけですから、それで情報を補完して、気になったやつだけ観ておけばいいんです。

それくらいゆるーく観ておけばいいですし、詳しくMARVEL知りたければ、それこそアメコミの翻訳本を買った方が楽しいです。




実は、そろそろこのシリーズ、興味がある人は早いうちに観始めてしまったほうがいいんです。


なにゆえ、ついに強敵・サノスとの対決が近づく中、世界観への大規模なテコ入れも始まっているんです。

これからの公開スケジュールから考えると、これから先、新ヒーローの誕生を容易にできるよう、世界観を広げようとする意思がよく伝わる・・・・ような気がします。

Dr.ストレンジやスパイダーマンブラックパンサーキャプテン・マーベルといった、有名なキャラクターでありながらも実写化には恵まれていなかったキャラクター達(一人意味が違いますが)の参戦。
既にヒーロー達が、実写映画シリーズとしては驚異のスピードで増えています。

つまり、情報量の増加。
世界観が広がるせいで、既に多い設定が、余計に増えてややこしくなるワケです。

元からいわゆる『マルチバース』を活かしているソーシリーズとGotGとDr.ストレンジ、計6作だけで、あれだけMCUの世界観の広さを拡張させてしまったわけですし、これから先どうなることやら・・・。おなかいたいです。




大型なシリーズ故微妙な作品が目立つこのMCU

微妙という評価のラインを超えられないまま、サノスとの対決にたどり着いてしまったことは正直驚きです。

これ絶対面白いやつじゃん!!
そういう期待を裏切るように微妙な出来の作品を作り続けてしまっていて、結局アベンジャーズ3の公開が近い今、私自身そこまでテンションが上がっていないのも事実です。

好きなシリーズ故に期待値も無駄に高く持ちすぎてしまっているのは自覚しています。
期待値を低くして観に行くと、このシリーズは結構楽しめるんだど思います。実際、全く期待していなかったソー3は意外とおもしろかったですし。

これから先の作品も、あまりアレコレ考えずに観に行くべきなのでしょう。




いつの間にやらアベンジャーズ3公開まで一週間。
嬉しいような悲しいような、楽しみなような不安なような。
とりあえず、アイアンマンひいきが無い事を祈り、誰が死ぬのかソワソワしながら待とうと思います。


あとMovieNEXやめて