えいがきのえいが【90年代生まれ視点の映画レビュー】

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【5年待ったのに何だこれ】パシフィック・リム アップライジング

2013年、人類と怪獣との熱いバトルを描いた『パシフィック・リム』の続編。 製作が停止したり、前作の監督が今作の監督を降板して制作に回ったり、制作会社のレジェンダリーが経営難になったりと、不運が続くも、5年という長いブランクを経てついに続編が公開!!


パシフィック・リム: アップライジング(オリジナル・サウンドトラック) こうもまぁカタカナが似合う洋画は珍しい。


舞台は前作から10年後。 人類が作り上げた巨大ロボット『イェーガー』と怪獣との戦争が終結し、復興の道を行く人類。 しかし、人類に再び魔の手が近づくのであった・・・・!!!


残念ながら、前作のキャストはほとんど登場せず、主人公も前作の司令官の息子です。 前作の主人公は一切登場せず、前作からは、ヒロインの森・マコと博士二人。

そんなこんなで今作は前作とは全く違った視点で描かれる・・・・と詳しい情報が公開される前から話はありました。

実際、予告の地点でもわかる通り、作風もイェーガーのデザイン性も変わっています。 前作ではギレルモ・デル・トロのオタク魂が炸裂していましたが、今作では主演のジョン・ボイエガが制作にも携わっていて、他にも多くの人が制作として集められました。 この大きく変化した制作陣が、前作とは違ったオタクっぽい映画をどう創り上げるのか。そういった期待値と不安が入り交ざっていたのが、今作が公開されるまでの間の印象です。


少し遅れて、ついに日本でも公開されました。

するとなんということでしょう。 ・・・あれ? ・・・っていう印象の映画になっていました。

なんか、前作で良かった要素が何故か無くなっていて、代わりに別に求めていない要素が加えられていた。そんな感じです。

まず、イェーガーについてですが、スタイリッシュなフォルムになって、動きも俊敏になっているんです。 続編ですし、10年後の物語ですし、前作から無意味にパワーアップすることは当たり前ですよね。ただ、ちょっとやりすぎなんです。 そもそも、前作ではあのトロい戦闘は否定されていませんし、むしろそこに魅力を感じていた人も多かったと思います。ですので、別にパワーアップって言っても、ハイテク武装がいっぱい追加されたってくらいで良かったんです。 前作の主人公機『ジプシー・デンジャー』のバージョンアップ版である、今作の『ジプシー・アベンジャー』は、核融合炉が2つになり、顔も攻撃的になりました。しかし、能力的にはただ俊敏になって、武装の追加も1つだけ。装甲なんかはむしろ弱くなってるんじゃないか?そんな印象がありました。

次に、ストーリーとアクションのバランス。 前作では、このバランスのとり方がとても上手かったんですが、今作はストーリーに偏り過ぎていたと思います。 実際の所前作と今作はストーリーとアクションの比率は同じくらいなんだと思います。しかし、今作には序盤の盛り上げになるシーンが無く、それのせいで前作のようなアクションの合間にあるワクワク感がありませんでした。 また、せっかくストーリーでじらしてきたバトルシーンも、かなりのワンパターンぶりで、迫力に興奮するようなシーンも正直ありませんでした。 結局映画好きな人に向けた作品なのか、ロボット怪獣特撮大好きなオタクに向けた作品なのかが分からない出来になっていました

重きをかけ過ぎた今作のストーリーですが、前作と同様キャラクターの過去、記憶についての描くんですが、それがもう1作目の2番煎じみたいな感じなんです。 シチュエーションと人物は違えど、『ヒロインの過去にあった悲劇』はすでにやりましたし、それを乗り越える流れも1作目に似ているんです。 どうせやるなら全く違う『過去にあった悲劇』を描くべきでしたよね。


決して悪い映画ではないですし、ワンパターンなアクションもちゃんとカッコいいです。 ただ、前作から背伸びしすぎていて、やること成すことが3作目みたいなんです。

意外と地味で、のそのそ戦ってこそパシリム。 そういうイメージを払拭したい気持ちも分からないこともないですが、2作目であそこまで作風が変えてしまうのは、ちょっと違う気がします。


今作、コクピットの描写も残念な出来になっていて、バージョンアップで簡易化・・・・したんだと言えば良く聞こえますが、なーんか工夫が足りないんです。 そりゃまあ、前作のコクピットのシーンは変態かってくらいのこだわりっぷりでしたから、今作にはそこまでは求めていないです。 ただ、私は前作のコクピットでガッシャンガッシャンしてイェーガーがガッコンガッコン動いてエルボーロケットオオオアアアアアアア!!!!!するのが大好きでしたから、今作にもそういうシーンが欲しかったんです。 ただ、今作にはそんな感じの、つまりスーパー戦隊みたいな感じが無く、ガンダムみたいに「よし、これで攻撃するぞ!それー!」みたいな感じで、とてもアツいバトルとは言える代物ではなかったです。 重力操作してガンダムハンマー武器を生成してGRAVITY DAZEごっこ攻撃するシーンも、もっとうまくできたはずでは・・・とかも思います。


今作、あのバンダイが気合を入れていたりしていますし、前作とのブランクが大きかった分、今作への無駄な期待値が大きかったんだと思います。

ストーリーそのものは好きなんです。あまり根元に迫らないあの描き方は大好物です。 ただ、それは私がパシリムみたいなオタク向け怪獣映画に求める要素ではないんです。 私が見たかったのは、ただ単にコクピットでガッシャンガッシャンしてイェーガーがガッコンガッコン動いてエルボーロケットオオオアアアアアアア!!!!!する映画です。 それに飾り程度のストーリーと死人がいれば充分なんです。

作中「あーコレ意識してるなぁ」ってニヤニヤする描写があるんですが、ストーリーに重きを置いている為か、全部が志半ばで終わっていて、オマージュというより、ただの劣化パクリみたいな感じになっていました。

バカの一つ覚えみたいに、何でもかんでもシリアスにしたがるこのご時世。まんまとその波に飲まれてしまってます。


いい作品ではあるのはうっすら感じます。 ただ、パシリムの正当な続編としては、正直つまらないです。

流石レジェンダリー!昼間のCG映像とかどんだけこだわってんだよ!! ・・・とは思いますが、ストーリーが前作の焼き直しですし、アクションも盛り上がりの無いブンドドを見せられている感じです。

映像技術が凄くても、それ以外がダメダメ。 結果的に興奮するようなバトルシーンや印象に残るシーンが全く無く、記憶に残らない大傑作でもクソ映画でも普通でも無い何がになっています。

私が「こういうのを観たい!!」って思っていたものを、悪い風に真っ向から否定してくるような内容でした。 これはスースクと同じ感じですね。

ギレルモ・デル・トロの発言から考えると、次回作(があれば)でパシリムは完結でしょう。

あの世界観はアップライジング程度ではもったいないですし、今後の展開に期待したいと思います。

パシフィック・リム アップライジング

パシフィック・リム アップライジング