後妻業の女【クズを見事に描いた作品】
大竹しのぶ、豊川悦司etc...
主要キャラクターはほぼ悪人。大竹しのぶ演じるザヨ゙ゴ小夜子は、『後妻業』と呼ばれる詐欺のプロ。
今作は、そんな小夜子を軸として起こる出来事を描いたものです。
今作、なかなか難しそうな雰囲気を出していますが、
その理由として、キャラクターや設定の解説をするタイミングがよく考えられていることです。
主人公が悪人という少数派の作風であるために、最初にオリジンから描くとお客さんが付いてこれなくなります。
まずはお客さんを作品に慣れさせ(しかも手短に)、それから簡単にオリジンの解説を流す。
それ以降はポンポンと話を進め(時折休息を入れつつ)、パタリと終わらせる。
このリズムが、今作ではかなり良くできています。
簡潔なストーリーに、主要な登場人物のほとんどがクズ。
こう聞くとこう聞くと、アメリカのしょうもない(いい意味であれ悪い意味であれ)ホラー映画のようなイメージしか湧きません。実際、私は今作のこんな感じのレビューを読んで、そういうのを想像してました。日本語おかしい。
しかし、いざ見てみると・・・。
簡単な分ストーリーにあまり深みは無いものの、クズをしっかり明確にクズとして描いており、徹底的にリアリティを描いていました。
しかも、単にそんなリアリティを描くばかりではなく、コメディ色も上手く混ぜ込んであり、観る人を一切飽きさせないように仕上げられていました。
どこぞの探偵コミックス社原作のヒーローみたいなシリアスというワケでもなく、どこぞのイグアナみたいな寒いギャグというワケでもなく・・・。
久しぶりにまともなエンターテイメントとして映画を観た気がします。エンターテイメントの意味が分からない。
PG-12の為、ある程度アレな表現があるので、そういうのを受け付けない人や、知人と観るのは注意を。
しかし、それこそクズを引き立たせ、クズを中心とした作品をしっかりと描く物となっているのです。
後妻業で金を荒稼ぎする女、そしてその息子
その女と手を組む結婚相談所の男
女と男を追う私立探偵の男
女の被害に合い、闇に飲まれていく二人の女性
シンプルかつ、プロがかったクズの描き方、そして記憶に強く残るシーンの数々。
感動?そんなのこの映画には無いですぜ。