えいがきのえいが【90年代生まれ視点の映画レビュー】

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後妻業の女【クズを見事に描いた作品】

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 大竹しのぶ豊川悦司etc...
 主要キャラクターはほぼ悪人。大竹しのぶ演じるザヨ゙ゴ小夜子は、『後妻業』と呼ばれる詐欺のプロ。

 今作は、そんな小夜子を軸として起こる出来事を描いたものです。


 今作、なかなか難しそうな雰囲気を出していますが、実際はものすごく簡潔に描かれております


 その理由として、キャラクターや設定の解説をするタイミングがよく考えられていることです。

 主人公が悪人という少数派の作風であるために、最初にオリジンから描くとお客さんが付いてこれなくなります。

 まずはお客さんを作品に慣れさせ(しかも手短に)、それから簡単にオリジンの解説を流す。
 それ以降はポンポンと話を進め(時折休息を入れつつ)、パタリと終わらせる。

 このリズムが、今作ではかなり良くできています。


 簡潔なストーリーに、主要な登場人物のほとんどがクズ。

 こう聞くとこう聞くと、アメリカのしょうもない(いい意味であれ悪い意味であれ)ホラー映画のようなイメージしか湧きません。実際、私は今作のこんな感じのレビューを読んで、そういうのを想像してました。日本語おかしい。

 しかし、いざ見てみると・・・。

 簡単な分ストーリーにあまり深みは無いものの、クズをしっかり明確にクズとして描いており、徹底的にリアリティを描いていました。
 しかも、単にそんなリアリティを描くばかりではなく、コメディ色も上手く混ぜ込んであり、観る人を一切飽きさせないように仕上げられていました。


 どこぞの探偵コミックス社原作のヒーローみたいなシリアスというワケでもなく、どこぞのイグアナみたいな寒いギャグというワケでもなく・・・。

 久しぶりにまともなエンターテイメントとして映画を観た気がします。エンターテイメントの意味が分からない。


 PG-12の為、ある程度アレな表現があるので、そういうのを受け付けない人や、知人と観るのは注意を。

 しかし、それこそクズを引き立たせ、クズを中心とした作品をしっかりと描く物となっているのです。


 後妻業で金を荒稼ぎする女、そしてその息子
 その女と手を組む結婚相談所の男
 女と男を追う私立探偵の男
 女の被害に合い、闇に飲まれていく二人の女性

 シンプルかつ、プロがかったクズの描き方、そして記憶に強く残るシーンの数々。

 感動?そんなのこの映画には無いですぜ。