えいがきのえいが【90年代生まれ視点の映画レビュー】

90年代生まれ視点の映画レビュー 当ブログは個人的な意見をバカ正直に綴ったもので、映画の品質を保証するものでもありません。映画を否定しても、その映画に関わった人物を否定しているのではありません。例え人をバカにしても、それはその人を尊重した上での行為です。

グレイテスト・ショーマン【すべてが主人公、まさにこれが私という映画】

19世紀のアメリカ。
貧しい幼少期を過ごしながらも、お金持ちのお嬢様と結婚し、3人の娘を持ち、庶民的に幸せな家庭を過ごしていたP.T.バーナム。
彼は、勤め先のリストラを転機に、大きな『挑戦』をする。


映画ポスター グレイテストショーマン ヒュージャックマン US版 hi3 [並行輸入品]


「もうミュージカル映画なんて廃れたもんなんじゃねぇの」という空気の中、威風堂々やってきた『ラ・ラ・ランド』。
結果的に大ヒットを記録し、ミュージカル映画の新たなるスタートを築き上げました(作品としての良さはともかく)。


さらに、エマかぶり美女と野獣』の大ヒット(作品としての良さはともかく)。


映画業界がミュージカル映画に目を付け始めている中、『レ・ミゼラブル』で美声(漢)を披露しまくったヒュー・ジャックマンが、再びミュージカル映画にやってきた!!


そんな今作、
グレイテスト・ショーマン


正直、全く期待していませんでした。
でもヒュー・ジャックマンの声目当てで、IMAXで観に行きました。


・・・・・はい、
良かったです


素晴らしいです。
OPのっけからして素晴らしいです。
ダレるのはその直後の序盤くらいで、P.T.の『挑戦』パートに入ってからは、ずーーーーっと楽しいです。



『挑戦』とは、予告である通り『ユニークな人』を集め、新たなエンターテインメントを提供する・・・というもの。

一見、最近流行りの不謹慎ってヤツに思えますが、そういうのではないです。


いわゆる需要と供給の関係です。

P.T.は、社会不適合とされてしまったり、奇妙なものとして見られてしまう特徴を持つ人達を起用し、ショーをしようと企てる。
ショーを通して、彼らには夢を叶えるとともに、心を落ち着かせられる居場所を与える。

そして自分には大金がわんさか入ってくる。

これでWIN☆WINの関係が結ばれる。

これを軸に進む今作。
凄いのは、軸はあくまでも軸であるということ。
軸がメインストーリーではなく、軸を中心に、メインストーリー的なものがいくつもあるんです。


いろーんな歌やモーション全てに意味があり、すべてがメインストーリー、すべてが主人公という感じ(もちろんそんなことはなく、雰囲気的な話です)。

まさに、今作のテーマであろう、『自分をさらけ出す』『夢に向かう』『幸せ』そのものでした。

凄いですよ、コレ。
いろいろなストーリーが主張しているのに、よくあるストーリーのごった煮とか、各キャラが別々の葛藤を抱えていてめんどくさい!!・・・とか、そういうのを感じないんです。


特に、ビジネスパートナーとなるフィリップが登場してから、作品としての素晴らしさがよーく現れます。

私は、このフィリップが登場するあたりのシーンが特に印象的で、飲屋でP.T.が彼にオファーをするシーンは、ワクワクしました。
言ってしまえば、ただ単に交渉→拒否を繰り返すだけの場面なんですが、二人のリズミカルな飲み方と、彼らの動きに合わせ店主がカップを避けたりテーブルを拭いたり、とにかくモーションが多いんです。


上の通り今作は、様々なストーリーが上手く混ざり合い、一つ一つが主役として成り立っています。

しかし、真のメインストーリーは、歓声と一緒にやってくる批難、誹謗中傷をあえて受け入れ、自らホラ吹きなペテン師として生きるP.T.の前向きな姿勢と、彼を信じ、前向きに生きる『ユニークな人達』なのでしょう。


有名なショーマンになり、幸せを手に入れたい夢、自分をさらけ出し、幸せを手に入れたい夢。


一人の男の身勝手な夢と、一つのグループの共通の夢が重なり合い、需要と供給の関係から、もっと凄いものへと変化していく・・・・。

しかし、P.T.の無意識に膨らむ、幸せを欲張ろうとする感情が、この関係を徐々に拗じらせてしまう。

それでも『ユニークな人達』は彼を信じ続ける。なぜなら―――。


挑戦にはリスクが付きもの。しかし、挑戦の醍醐味はリスクがあるという事である。
そんなP.T.に振り回されながらも、彼のショーを自分達の居場所と思い続ける。
そういう前向きな感情と同時に、反感をネタにし続けてきたツケが少しずつ近づいてくるという闇も描かれています。

これにより、ただただ関係ない喜劇を描き、いきなり局面にたどり着く・・・のではなく、客観的に見て明らかにヤバいことになりうる状況が見え、ストーリーの山場やキャラクターの成長が、丁寧に、違和感無く描けていたと思います。




今作、想像の何倍もいい映画でした。
昔が舞台の映画だからと、変にレトロな演出をしたり・・・というものは無く、VFXの視覚効果盛りだくさんの現代チックな作品に仕上がっていました。


ただ、はじめの方で書いた通り、今作は序盤でダレます。

ミュージカル映画からしょうがないと言えばその通りなんですが、今作は様々な感情をモーションで伝えています。
それ故、序盤の「P.T.の幼少期はめちゃくちゃ貧乏でちょっとはみ出た才能を活かす場も全然ありませんでした」的な話とか、「妻と二人の娘を持つ、お金はあまりないけど幸せな家庭で暮らしています」的な話が長いんです。

そりゃもう不安でした。
この映画大丈夫か・・・・?って。
序盤でここまでダレるって、ショーマンになってからコレどうなんの?って。

P.T.がショーを始めててからは、対して絡みのない要素がちょいちょいありましたし、もうちょいサラーっとやってしまっても良かったかもしれませんね。

『ちょっとはみ出た才能』は序盤で3回くらい描いてましたしね。

ただ、ダレるのは序盤だけで、その後はリズミカルに物語が進みます。
要はワンダーウーマンと似たような感じです。
ダレてる地点でそうそう褒められることではありませんが、そんなことを忘れてしまう程の展開が先にあるワケですので、その点は素直に凄いと思います。




最近の大ヒットミュージカル映画ですぐに挙げられるであろう『ラ・ラ・ランド』と『美女と野獣』ですが、私個人としてはどちらもあまりヒットしていませんでした。

そんなミュージカル映画2作続けて微妙と感じてしまっている奴がおもしろいと思ったんですから、きっと純粋なミュージカル映画としても、すんばらしい作品となっているのではないでしょうか。

時代設定と音楽の方向性のギャップとか、大きく激しいモーションで伝てくる感情がクセになる今作。
かなりオススメです。



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