キャプテン・マーベル
いろいろ文字サイズとかいろいろ編集したかったのですが、なかなかそういう時間が取れず、後日編集予定としてとりあえず公開しちゃいます。
ついにMARVELからも女性主人公の単独映画が誕生。後ろに他社の同名スーパーヒーローがいるけど気にしない気にしない
遂に終わりを迎える(終わるとは言っていない)MCUシリーズ最新作の1つ前『アベンジャーズ エンドゲーム』に備えよ!!とも言わんばかりの今作。
地球は90年代、宇宙は『スクラル』と『クリー』との戦争真っただ中。
記憶喪失で『クリー』の一員であるバースは、チームからはぐれ地球へと落ちてしまう。
たまたまアメリカに落ちたバース。そこで若きニック・フューリーとフィル・コールソンと出会うが、同じくして地球にやってきたスクラルとハチ合わせ・・・・・。
今作について書いていく前に、まずは『スクラル』について。
彼らは元々アベンジャーズの1作目に登場する予定だったらしく、いわゆる大人の事情で『チタウリ』が代わりに登場した・・・・と聞きます。
つまり、今作はそんな大人の事情を見事解決し、原案でも綿密だった『スクラル』と「クリー」の関係を原案通り描くことができたワケです(詳しくは知らないんですけどね・・・)。
どういう経緯で実現したのかはまだハッキリ分かりませんが、多分一番の原因って、あの4人のヤツで壮大にやらかしたからでしょうね・・・・。
スクラルの大人の事情がどーこーはどうでもいいとして、今作の話。
原案では主人公は別名のスーパーヒーロー『Ms.マーベル』として活躍していて、なんか色々あって先代キャプテン・マーベルのマー・ヴェルからその名を引き継いだ・・・・と言う感じです。
ただ、今作はそういったオリジンのほとんどが変更されています。まずは主人公が記憶喪失であること。次に『先代キャプテン・マーベル』そのものが存在しないこと。そしてバースが『キャプテン・マーベル』となるきっかけが違うこと。
これまでのシリーズでも大幅な設定の変更はありましたが、今作に関しては完全オリジナルとも言える代物でした。
元々実写化だとか原作だとかではなく、あくまでも別世界の同名ヒーローの物語だよっていう表現をすることが多いアメコミ映画。今作に関してはそういった考え方が色濃く出ていた・・・・といった感じ。
そういった意思はストーリーにも反映されていて、若きニックとの出会いからクライマックスに差し掛かるまでは文字通り全く予想できない展開の数々でした。
私自身、今作にはちょっと期待値を高く持っていて、珍しく「こういうのが観たい!!」とか思っていましたが、あのビックリ仰天な展開にはビックリするばかりで、結果思っていたのと違った作品になりました。
・・・・いつもならここで「ただ、これはいい意味であって〜」とか書きますが、今作に関してはちょっと微妙なところです。
今作、クライマックスに差し掛かるまではホントにおもしろいんです。ユーモアなキャラクターとユーモアなキャラクターという組み合わせはマーベル・スタジオの得意分野ですし、当然今作もおもしろく出来上がるわけです。
ただ、問題なのはクライマックス。
先に書いておくと、別に悪くないんです。むしろよくぞまあこんなにも上手くまとめたよねって思っています。
その上でなんですけど、強すぎるんです、この人。
しかもこの人、いわゆる火事場の馬鹿力タイプの人で
要はゴーストライダーみたいな『キャラクターが強すぎて脚本に困っている感』があるんです。
さすがにアレほど困り果てた感じまでは無く、その辺りのカバーはとても上手く仕上がっているんです。ただ、今作の主人公キャプテン・マーベルは、弱さを見せない(というか弱さが無い)キャラクターというゴーストライダーには無いプラスαがあって、その辺のカバーができていない感じでした。
じゃあどうしろと言うんだってハナシですし、コレはもう避けられない事というか、起きるべくして起きた事というか・・・・そういうカンジ。
もう一つ、超強いヒーローは超強いぞ!っという描写しかできない。
今作も例外ではなく、そういうカンジのクライマックスになっているんですが・・・・その・・・・・なんか既視感があるんです。
上で書いたように今作の主人公キャプテン・マーベルは『火事場の馬鹿力』タイプのキャラクター。
そして空を飛び、宇宙にも飛び出せます。
・・・・・グリーンランタンみたいなんですよ。今作のクライマックス。
さすがにアレほど酷くないですよ!むしろ凄くクールなシーンなんですよ!!・・・・って言いたいところですが、ただ、やっぱチラつくんです。
カッコいいはカッコいいんですけど、微妙にカッコよくないというか。さっきまでおもしろかったのに、いきなりグリーンランタンをチラチラしてくるワケで・・・正直クライマックスはそんなにおもしろくなかったです。
ただ今作、上でも書いたように、オリジナル要素いっぱいなストーリー自体は結構おもしろく、クライマックス以外のアクションもキャップ2と同じ系統でめっちゃくちゃカッコいいです。
特に、予告のおばあさんをぶん殴るシーンで話題になった電車の中の展開は、地球に降りたてで不慣れなバースと緊迫した空気感がマッチしていて一番ドキドキしました。
やっぱアメコミといえば電車アクションだよな!!
正直、今作はシビルウォー以来の素直に褒められない出来の作品でした。
クライマックスの微妙な感じもそうですし、自分探しの旅系映画なのでキャラクター紹介が長い・・・・のはしょうがないとしても、ちょっと前に公開した某サイボーグの映画とテーマがカブっている上に、あっちの方がずっとリズミカルでおもしろいのは正直マジかよってなりました。
とにかく、今作はアベンジャーズ エンドゲームと隣接するような立ち位置。キャプテン・マーベルは見るからにして切り札、見るからにして最終手段です。この先『つなぎ』として使われてポイされるか、フェーズ4の中心人物となるのか、アイアンマンとキャプテン・アメリカが死亡し、混沌極まる世界に新たな希望として降臨する(適当言ってる)かは分かりません。
高品質な作品を連発してきたこのシリーズとしては何とも微妙な感じになった気もしますが、これからが楽しみ・・・というよりもアベンジャーズ4が今週公開という状況が信じられない・・・ような、そんな気分です。
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バイス
今作は、アメリカ、ジョージ・W・ブッシュ大統領時代の副大統領、ディック・チェイニーを描いた作品。
皆さんご存知の通り(私は知りません)彼が9.11後のアメリカをイラク戦争に導いた張本人とされていて、今作はそんな彼を『忠実に再現した』作品・・・になっているそうです。
・・・・そう聞くと、どこぞのペンタゴンのペーのパーみたいに『個人的な好き嫌いを露骨に押し付けるような映画』みたいな、『作品が一人歩きしている完全なる自己満足映画』みたいな感じを想像しますが、違います。
今作はメッセージ性がどーこーとか、人格否定してどーこーとか、個人的にクソヤローだと思う奴とソックリだぜコイツとかじゃないんです。
ただただ、ディック・チェイニーの半生をおもしろおかしく描いているんです。そう、
今作のポイント、ディック・チェイニーを客観的に描いていることです。
のっけから「コレは映画だよ」という演出から始まり、作中でも「コレは映画だよ」ってハッキリ断言しています。
それに、ストーリーの進行はナレーション形式ときてます。
要は今作、物凄く予算タップリ豪華キャストな再現VTRという感じ。
しかもおもしろおかしいんです。
また、9.11やイラク戦争を取り上げておきながらナレーションのノリは完全におふざけモード。
ホントにクソです(褒めてる)。
ハッキリ言って社会科全体大嫌いな私ですが、今作は面白かったです。
なにせ真面目に語るんではなくおもしろお(ry
ただ、おもしろおかしく描いている・・・というのは作風だけなんです。
前説にある通り作品からにじみ出ている作品作りの姿勢はホンモノで、いわゆる『真面目にふざけている映画』というカンジ。
映画・・・広義的に作品の中では割と需要の低い作り方。ましてや主人公はイラク戦争を引き起こした人物達の中の一人であるディック・チェイニー。
ふざけてんのか。ハイ、ふざけてます。
もっと真面目にやれ。全く以ってその通り。
そんなノリです。
私個人としては大好物です。
最後に、個人的今作一番のポイント。
今作はヒューマンドラマ寄りのブラックコメディ的作品なんですが、演出のノリがアクション映画のソレで、ムダに迫力が凄いです。
・・・・ホントにムダです。ただ、コレが今作のホントに凄いところで、そういったムダな迫力をかもし出すシーンの数々は、やり様によっては今作の主人公のディックの『クソさ』を最大限表現できるような、そんなシーンです。
・・・・しかし今作、そんな説教臭い事をするよりも、VFX有効活用してド迫力なシーンを作り出すことに注力することを選んでいるワケです。
・・・・そりゃさすがにちょっとは説教臭くはしているんですけどね。ソレよりもド迫力!緊迫感マシマシ!が勝っているんです。
こういったひねくれた演出に、私はドンドン引き込まれていったワケです。
今作、ハッキリ言ってクソ映画です。
・・・・が、それでいて今作は意図的にクソ映画として作られている、そういった意志を感じる作品になっていました。
スタッフロール後のシーンでそういう点「なるほどね」ってなります。ホントに。
こういう系統の映画がコレを期に一気に増えて・・・・は困りますが、ちょいちょい顔を出せられるようになってくれると嬉しいですね。
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アリータ バトル・エンジェル
スクラップに紛れていた、サイボーグで記憶喪失の少女。 サイボーグ専門のサイバー医師の『イド』に救われ、『アリータ』と名付けられた彼女。『ザレム』という空中都市の下『クズ鉄街』で多くの経験を積み重ねるにつれ、自身の過去が明らかになっていく。
日本の漫画『銃夢』をハリウッドが実写化。
監督はあのジェームズ・キャメロン・・・・・・じゃない!
とにかく、ゴースト・イン・ザ・シェル(攻殻機動隊)に続くMANGAのハリウッド実写映画。
原作は今作を観るまでは読んだ事はなかったです(タイトルなら聞いたことある気がするなー・・・程度)が、予告のバトルシーンに魅せられて観に行きました・・・・通常上映で・・・・・。
まず気になることと言えば、主人公のアリータの大きな目だと思います。
実は目だけじゃないんです。 輪郭が逆三角形のシュッとした感じになっていて、体型なんかもかなり細身でスタイリッシュでMANGAチックになっています。
予告やポスターからはちょっと異質な感じというか、宇宙人っぽいな・・・というカンジがしますよね。 ぱっと見製作側の勝手な悪ノリですが・・・今作の凄い所、凄く良い効果が出てるんです。
まず、アリータの表情が物凄く豊かに表現されています。大きな目なんだから当たり前でしょ・・・ってなるんですが、もはやそんなレベルの話ではないんです。
目で見せる表情が本格的にMANGAチックで・・・凄く良いんです。 喜怒哀楽の表情が凄まじく、特にクシャッとした笑い方をする目のかわいらしさと、睨みを効かせた目の威圧感なんかは驚きです。
また、(おそらくですが)シーンによってアリータの目の大きさを変える手法が使われていました。 漫画やセルアニメーションの目って、よく変に釣り上がったり点になったり・・・物理的におかしな変わり方しますよね。今作のアリータがソレで、原作の釣り目だったりまんまる目だったりするガリィ(アリータ)の表情の豊かさを、『目の大きさを変える』という違ったやり方で実写に反映させていました。
次にMANGAらしいスタイリッシュなシルエット。 これが実にイカしていて、実写という環境下で、ただ一人『MANGA世界のティーンエイジャーの女の子体型』という『異質感』が、アリータのスタイリッシュアクションのカッコよさを何百倍にも増幅させています。
今作、素晴らしいのはMANGA的要素の扱いの上手さだけではありません。
ストーリーがめっっちゃくちゃ良いんです。
勝手なイメージですが、ジェームズ・キャメロンの脚本って無駄にしつこくないですか? なんか、同じことを何度も繰り返すというか、考えたら分かる事までいちいち丁寧に見せてきたり。
ただ今作、全っ然 無駄が無いんです。 その上、原作のストーリの再構成がめっちゃくちゃ上手くまとまっているんです。
今作、最近発売された原作の新装版で言う第2巻までのストーリーをベースに描かれているんですが、当然ソレを原作通り描くとなれば2時間じゃあ収まるわけ無いですよね。
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新装版銃夢(5)ザレム征服 (KCデラックス)
そこで、その2巻のうちで展開される3つのストーリーを一連のストーリーとして再構成させています。 また、第3巻以降で明らかになるアリータやザレムの『正体』にも触れられていると思われ(第2巻の途中までしか読んでいないので・・・)ます。
その再構成が素晴らしい・・・・素晴らしすぎます。
何を残して、何を切り捨てるか。そしてどんなオリジナル要素を加えるか。 今作、何が素晴らしいって、再構成する中で不要になった要素を容赦なく切り捨てている事だと思います。 言い方が悪いんですが実際その通りで、例えば原作のはじめの強敵『マカク』。彼には原作では癖の強い設定や一気に魅力的になる展開がありましたが、今作にはそういう要素は殆ど切り捨てられていて、ただの強敵、アリータに立ちはだかる強敵と言う立ち位置になっていました。
また、メインヒロイン『ユーゴ』が序盤から登場(原作ではマカクとの戦いの後の登場)し、併せてオリジナル要素でアリータがクズ鉄街と触れ合うシーンが加わっています。
ユーゴとの出会いをきっかけにアリータがクズ鉄街の環境に馴染んでいく・・・・という原作とは全く違う展開・・・・でもソレは今作が『実写化』としてではなく『実写版』として作っている表れであって、また別の、ジェームズ・キャメロン流『銃夢』として作りたい・・・・と言う感じが、とっっっっっっっっても良いカンジでわっていくワケです。
なんなら原作よりこっちの方がアリータに人間らしいかわいらしさがあって、前半30分も無いうちにアリータのキャラが確立されていて、やっぱ凄いな・・・・ってなりました。
上で書いた通り、私は今作を通常上映で観に行きました。
・・・・・・・・・・今、めっっっっっっっっっっっちゃくちゃ後悔しています。
なぜ某埼玉映画を優先して、今作をケチって通常上映なんかで観たのか? 来週は某蜘蛛映画の先行上映があるから2回見る機会が無い・・・かもしれないのに何で通常上映なんかで観たのか?
金曜日の「埼玉に染まるぜー」意気込んでいた私をぶん殴ってやりたいです。1か月前の私に「原作読め!!!!」と強要してやりたいです。
それくらいにおもしろい・・・・素晴らしいんですよ、今作は。 現在暫定1位の出来・・・・・はるか上で新装版第1巻表紙のガリィが光り輝いています、ハイ。
絶対2回見てやる・・・・・ウルトラマンと2本立てで観てやる・・・・・・。
今作、続編を意識した作りになっています。 1作目や物凄いブランクを空けた続編モノでこういう作り方をするのは正直嫌いなんですけど・・・・・・・・・今作は別です・・・・・だっておもしろいんですから(自分勝手な正当化)。
っていうか観たいんです。この実写版世界の銃夢を。
お願いだからアバターなんか作ってないでこっち作って・・・・・!!
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私ね・・・・・マジ泣きしましたよ!!!!!!!!
ボヘミアン・ラプソディ
伝説の男、フレディ・マーキュリー。
彼がフレディ・マーキュリーとして、クイーンとしての半生を描く映画が、ついに日本公開。
クイーン・・・・私自身世代でも何でもないんですが、観に行きました。
最初はパスするつもりでしたが(最近同じこと書いた気がする)・・・・・クイーンだよ?クイーンの曲を映画館で聴けるとかめっちゃ貴重じゃない?
という事にで観に行くのを決めたワケですが、公開2週間前にしてIMAXで上映されることを知りました。いやIMAXで予告が流れるんだから気付けよ。
没後27年なので、彼の物語を映画化するにはちょうどいい頃合いですね。
今作はフレディ・マーキュリーがボーカルとしてバンド入りする所から、85年のライブまで、大体15年間の物語。クイーンとしての物語ではなく、あくまでもフレディ・マーキュリーの物語です。
先程も書きましたが、私はクイーン世代ではないです。なので、リアリティがどーのこーのとか、事実に基づいてどーのこーのとか、そういうことはわかりませんが・・・・
今作、すごく良かったです。今年一番でおもしろかったです。
えっ・・・アベンジャーズ3は?・・・って思いましたが、アレは4ありきの評価がしたいので、まだ甲乙付けられない・・・・というのはウソで、ホントに今年一番です。
フレディ・マーキュリーを描く今作。彼を主観的に描くことなんぞ当然できないワケでして。それで今作は、いわゆる客観的に見せる系の映画になっていました(最近同じこと書いた気がする)。
彼が抱えているものだとか、曲を作る中で彼は何を思ったのか。
そんなもん知らねーよ!!!
という感じ。彼はこう思った、ではなく、彼は何かを思った。
思い返せば、今作は彼に問題を抱えさせたらそれで終わり・・・の繰り返しで構成されていたと思います。
コレが逆に事細かに描かれていたら、彼に過大評価、もしくは最低な男というイメージを与えてしまう失礼極まりないクソ映画と化していた・・・が、今作は違います。
事実を基に描く映画としてはどうなのかってくらいにキャラクターの心情を描かない今作。フレディ・マーキュリーという伝説の男であれど・・・伝説の男だからこそ、裏を掘り返せばドロドロでメチャクチャな人生なのはお察しの通り。だからこそこうやってオブラートを何層にも包んで、内面を『描かない』という手法を取った・・・・のでしょうが、これがまあ大正解だったと思います。
私みたいな『クイーンの世代ではないけど、彼らの楽曲や音楽への情熱は知っている』という人からしたら、フレディ・マーキュリーにより一層魅力と謎が深まるワケですね。
実際私自身、クイーンの曲はたまーーーに頭の中で流れる程度でしたが、今作を観た後はずーーーーーーっと頭の中で流れていますし、フレディ・マーキュリーがカッコいいモーションをしたり、カップヌードルのアレを歌ったりしてます。
上でも書きましたが、私は今作が暫定で今年ダントツで一番おもしろいと思った作品でした。
何より今作、100分間フレディ・マーキュリーの物語を描き、それをクライマックス20分に一気に集約させるんです。
私ですら知っているあのライブを再現したクライマックス。
だからこそネタバレしてしまいますが、We are the championsが完全にツボって本気で泣いてました。
まさに今作の集大成と言っても過言ではなく、文字通り締めくくり、後味の残らないスッキリした終わり方でした(あの曲が流れてより一層引き立つ)。
今作、実は事実と異なる点があるようです。私自身、今作を見た後に知ってメチャクチャビックリしました。
あえて伏せておきますが、全く世代ではない人は、ぜひとも今作を観てから調べてみてください。
その事実と異なる点。
事実通りやってしまうと、あのクライマックスがなんとも後味の悪い終わり方になる上に、興奮を一気に冷めさせるエピローグをやる必要が発生し・・・・・そんな感じです。
映画というモノは、結局は娯楽です。今作はそういう事をちゃんと理解していて、物語構成を優先させたいから、人物像を壊さない程度に事実と違う事をやるね、というノリの物語になっていたと思います。
こういうのって大事ですよね。奇跡の人みたいに。ゔぉー。
上でも書きましたが、私は今作が(暫定)今年ダントツ一番でおもしろかったです。
世代ではないにしても、カップヌードルの人だよね程度の知識しかなくても、今作はフレディ・マーキュリーの物語として、一つの映画として、素晴らしい作品だと思います。
入念に練られ密度が高くリズミカルなストーリー、そして今作の一番の魅力とも言える『描かない』という手法。
そうやって『人間臭いフレディ・マーキュリー』を描き、最後に皆が知る『カッコいいフレディ・マーキュリー』を描くのが今作です。
世代ではない私ですら拍手喝采(脳内)ですから、クイーンの栄光を知る人にとってはもう大爆発モノ(オブラート)でしょう。
フレディ・マーキュリーを忠実に描いた・・・かどうかは分かりませんが、今作はかなり素晴らしい作品だと思います。
映像の質感がシーンごとに違う箇所があって、その点ちぐはぐな感じがしましたが・・・・それを含めても、あのストーリーやライブ感のクオリティは凄まじく、何よりもクイーンの楽曲をこういった形で拝聴させていただける・・・ということはかなーーーーーーり貴重です。
ウィー・ウィル・ロック・ユーなんて、ドンッドンッチャッやりそうになりましたし、大声でうぃーうぇーうぃーうぇーろっきゅーってやりたくなりましたよ。っていうか口だけでやりましたよ。空中でドンッドンッチャッやりましたよ。
今作、ヒューマンドラマとして質が高い+エンターテイメント性もとんでもないという、とんでもない映画です。
フレディ・マーキュリーという漢の様々な葛藤と苦悩、ミステリアスで狂気のある人間性が丁寧に描かれていると感じました。
実はこの記事を描いている途中で、今作をもう一回観たんですが・・・コレ、2回目がめちゃくちゃおもしろいです。
今作はクライマックスで一気にフレディ・マーキュリーの魅力を引き出すカンジになっていて、言い方を変えればそれまでは彼を遠い存在として見せられるというワケです。
しかし2回目となると、フレディ・マーキュリーをより身近に、より人間臭く感じ、また違った感情で見ることができるんです。
今作、私の想像の何倍以上にも人気があるようで、なんと109シネマズ名古屋で最新技術のIMAXレーザーでの上映も決定したみたいです(おのれぇ・・・)。
ちょっと気になる・・・というのであれば、ぜひとも、できるだけ高品質な上映で観てください。ホントに凄いので。
クイーンってボーカルがクソダサい動きしながら歌ってるバンドでしょ(笑)とか言ってる人がいたら、ぜひとも縛り上げて劇場に放り込んでやってください。
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A Night At The Opera (2011 Remaster)
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ヴェノム【11年ぶり、ポシャったダークヒーローの復活だ!!】
アメイジング・スパイダーマン2が中途半端にコケて、後の続編もスピンオフも全部ポシャった!!
せっかく臭わせまくったシニスターシックスや謎の男の正体も結局謎のまま!!
しかし、ポシャった企画は完全消滅するわけではない。
全く違うシリーズとして展開させてしまえば、ポシャった企画も復活させられる時もあるんだぜ!!!
ソニーが抱えている『実写版の版権を持っているのにめっちゃ持て余しているキャラクター』第一位(私脳内調べ)のヴェノムが、ついに単独映画化。
ベースとなるはずの世界観はポシャり仕切り直し。プライドが邪魔をして素直にマーベル・スタジオにペろペろすることもできない。
素直に甘えなよ!!
そんな私の心の叫びなぞ届かず、ほぼソニー単独で製作された今作。
予告が公開されるものの、第一印象が・・・雲行きが怪しい!!
しかし、ヴェノムの姿が明らかになった時、ドスの効いた「We are VENOM」を聴いた時・・・・・もう舞い上がるくらいにテンションが上がりましたよ。
ただ、一つだけ大きな不安要素を残していて・・・・
これシリアス路線じゃない?
そんな不安を抱えつつ観た今作。
109シネマズ名古屋は、現在IMAXデジタルシアターが改装工事中につき、ヴェノムとボヘミアンラプソディのIMAX上映ナシ。イオンシネマ大高で観ました。やっぱイオンシネマのシート苦手!
でもそこまでしてでも観たいじゃないですか。意地でもIMAXで観たいじゃないですか。109とそんなに離れてないけど。
で、はじめに言っておきたいことがあります。
今作は『スパイダーマンの宿敵にして、最悪で残虐なスーパーヴィラン』というカンジのうたい文句で宣伝していますが、逆です。
たしかにスーパーヴィランではありますが、今作の主人公でもあるエディ・ブロックが変身するヴェノムは『スパイダーマンを正々堂々ぶっ殺したいマン』なんです。
それ以外の犯罪はやらない主義で、ましてやピーター(スパイディ)に決闘を申し込むために、彼のの自宅に行って、彼の叔母の家事手伝いをしながら帰宅を待つレベルです。
では、どうして今作ではあんなにも卑劣なキャラっぽい解説をするのか・・・?
そんなに意味はありません。
安心してください、
そんなに意味はありません。
なので、あまり不安に思わずに観てください。
今作、前回の登場(スパイダーマン3)の時とは打って変わって、喜ばしい事にわりかし原作に近いキャラクターで描かれていました。
ただ、設定がほとんど別物(だと思う)になっていて、まあスパイダーマンどころかスーパーヒーローがいない(と想定した)世界の話なのでしょうがない・・・・というカンジです。
とはいえ、『これはこれでアリ』というカンジにまとめられていました。
で、そんな『これはこれでアリ』という設定・・・作風の話ですが、今作は『寄s・・・(体内を食い尽くされる音)・・・もとい『共生』がテーマになっています。
そもそもヴェノムとは、スパイダーマンと共生していた地球外生命体のシンビオートが、スパイディに「こいつと一緒にいるヤバイ」という理由でむりやり引っ剥がされている時に、たまたま近くにいたピーターを逆恨みしているエディに乗り移って誕生したスーパーヴィランです。
ピーターに裏切られてぷんすかぴんなヴェノムと、ピーターに不正をチクられて逆恨みしているエディがベストマッチ。そんな感じでスパイダーマンぶっ殺したいマンが誕生したワケです。確か。
ただ、上でも書いた通り、今作はスパイダーマン抜きですので、当然この設定は使い物になりません。
というワケで、今作は『共生』を全面に押し出した作風になっていて、悪い言い方、本来のヴェノムとは違う(遠くはない)モノになっています。
ただ、今作の凄い所は、『これはこれでアリ』な所で、思っていたヴェノムとは違っていても「これもヴェノムだよね」ってなるんです。
今作、いわゆるダークヒーローモノで、予告からしてシリアス路線だよねコレという雰囲気がプンプンしています。
しかしフタを開けてみればあら不思議。陰湿さどころか複雑さも無く、むしろ明るい作品になっていました。
また、オリジンが原作をオマージュしたようになっていました。
原作では不正をするという完全な悪役ムーブをする主人公を、今作では頑張りすぎて逆に悪い方向に進んでしまう系の主人公に置き換えて・・・というアレンジが上手く、ちゃっかり『ズルして人生下り坂になったエディ』をしっかり描けていてと思います。
実は今作のヴェノム、アホの子です。
かわいいです。
かわいいです。
かわいいです。
理性もあるし普通にベラベラしゃべるし、なんだかんだいい子です。
あの予告は何だったんだよ!!
・・・・イイじゃんコレ!!
こんなカンジ。
今作、アクションシーンが結構印象的でした。
本格的にヴェノムの精神が現れた以降、あらカッコいい、あらかわいいのオンパレード。
スパイディ要素が無い=クモ糸が使えない。その変わりにヴェノム自身が形状を自由に変化でき、触手を伸ばしたり盾になったり・・・・。無駄なシーンになりがちなカーチェイスも、そういった能力を駆使し、スタイリッシュでカッコよく仕上がっています。
それに、肝心なヴェノム自体もマッシブで巨大なのに、ピョンピョン飛び回ってトリッキーに戦い、その上思春期の小学生みたいにグロテスクなこと言うもんで、クセが強いです。
今作、CGが全体的に暗く、低予算映画なのかなー?と思いきや、CGモデルの表情付けは並で、シンビオートのドロッとした動きなんかは結構作り込まれているように見えました。
異形な地球外生命体として動かすなら、気持ち悪いくらい動かさないと・・・・ですし、それなら当然映像を暗くして胡麻化しますよね。
・・・・でもやっぱり明るい場所でヴェノムが観たかった!!というのはやっぱあります。
で、どれだけくらいかと言うと、通常の上映システムよりも明るくて鮮やかなIMAXでさえヴェノムのディティールが分かりづらいというくらい。ヴェノムのディティールを細かく見られるシーンが一瞬だったのは残念でした。。
思わせぶりな宣伝をしていって、実際のところ予告とは全然違う意味でおもしろい映画になっていた今作。
何年も待ってやっとヴェノムらしいヴェノムを観ることができましたし、私自身満足・・・というワケではないですが、お気に入りの出来に仕上がっていました。
ただ、やはりソニーピクチャーズの映画なだけあって、アメイジング・スパイダーマンでの反省をあまり活かせていなかったな・・・・そもそも反省してないよねコレ・・・・という感じは強いです。
まず、この時代に単独世界(を想定とした)アメコミ映画だったという点。実写版スパイダーマンはMCUの世界の住人になったのにもかかわらず、それの偽物的存在が別世界のキャラクター扱いになる、というのは私自身「さすがにソニーでもやんないでしょ」って思っていたので、確定されたときはもうビックリでした。
ただ、結果的にはおもしろかったですし、マルチバースの存在を本編で匂わせるシーンが一切無い・・・という事は、今後いくらでもテコ入れして無理やりMCUにぶち込めるというわけです。これに関しては、今後に期待ですね。トムとトムが共闘するシーンとか観たいですしね。
次に、描写が全体的にどの層をターゲットにしているか分からない所。
話そのものは面白いんですが、アクション映画特有のヘナチョコセキュリティとか、PG-12で抑えましたと言う割には、他のそれよりも徹底的にバイオレンス描写を見せなかったり、キャラクターの変化が物凄くトートツだったり・・・・。
それなのに予告はホラーっぽくてシリアスだし、オリジンは無駄にしんみりしているし、CGが目に優しくないし。
つまりチグハグな作りになっていて、ちょっと心に引っかかるような感じがしました。
でも結果的に面白かったですし、ヴェノムが可愛かったですし、アクションもカッ(略)
そして一番アレだったのが、オリジンが長い事。
いい加減覚えてソニー。
2度目のオリジンは短くていいの。リブートのオリジンはほぼダイジェストでいいの。私はヴェノムもといシンビオートが見たいの。
上で書いたおもしろくなる所にたどり着くまで・・・・えっ、コレ大丈夫?・・・・・・・・・・・
・・・・で、ずっと不安な気持ちにさせられました。
でも結果的におもしろかったですし、ファンタスティック・フォーみたいなク(略)
今作、結果論的に言えばおもしろかったですし、作品の完成度も単独世界のMARVEL映画の中ではいい方だとは思います。
ただ、そのシーン、そのシーンで思い返せば微妙な点が所々見え、なんとも惜しい作品になっていました。
最近のアメコミ映画にしては、スタッフロール後のアレ以外何も匂わせないまま終わらせた今作。
この手法、意外と画期的に思えます。コケればそのままバッサリできますし、ウケれば単独世界のまま続編も作れますし、理由をつけて適当な世界と合流ができますしね。
今作、そういった可能性や拡張性がさり気なく置かれていて、将来性へのワクワク感(と不安感)が他の『シリーズ第一作』とはダンチに感じました。
次回作は結構期待できるかもですが、やはり心配になってくる、そんな作品です。
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億男【友情は丁寧に描いて・・・】
借金3000万円を抱える男、一男が、宝くじで3億円を当てた。
大学時代の親友、今では大金持ちの九十九に相談したら、なんと彼は一男の3億円を持って消息を絶ってしまう。
良太郎もとい佐藤健主演で結構テンションは上がりましたよ。とはいえ結末が容易に予想できたので、ホントは今作はパスするつもりでした。
ところがしゃべくり007で「あんなもの」を見てしまったのが運の尽き。ノリノリで観に行きましたよ、ハイ。
今作はいわゆるヒューマンドラマ。内容はハイテンションな予告とは全く違います。
それに作りも独特で・・・というより、古臭いです。
ポン、ポン、とストーリーにしっかりと区切りをつけて、リズミカルさをあまり考慮していない作りになっています。
私としてはむしろ大歓迎で、ステップを踏みながら、主人公が何かしら知識を得る展開は楽しかったです。
ただ、それがあまり高評価を得られなかったようで、テンションが高くてエンターテイメント性のある感じの予告を観てつられてきた人たちが置いてけぼりを食らっていた気もします。
今作は「金とはなんじゃらほい」をテーマに、一男が九十九とその周りの人物達のそれぞれ異なる金への解釈を知り、成長して行くストーリーです。
ただ、私が一番インパクトを受けたのは、中盤に展開される一男と九十九の大学生時代のモロッコ旅行の展開でした。
一男と九十九の心情の変化・・・の『きっかけ』となるのがこの展開の流れです。
また、主人公の親友という立場でありながら、ミステリアスな九十九のキャラクターを明らかにするものにもなっています。
そこから一男と九十九の友情の深さや、『なぜ一男は九十九を信じ続けるのか』も明らかになっていくワケです。
こんなカンジに、主人公の心情を後を追う形で描く手法になっていて、つまりは『客観的に観せられる映画』というわけです。
そんな今作ですが、上で書いた事から考えられる通り、共感も無いし、盛り上がりも無いし、どんでん返しも無いし、衝撃的な最後も無いです。流行りに乗らず、ずーーーっと平坦に話が進み、ぱったり終わります。
私はこの映画は普通に良かったです。平坦なストーリー好きなので。
ただ、平坦な作風にしてしまうと、必然的にキャラクターの感情が描きにくくなります。すると、各キャラクターを描くだけにもかなりの尺を使う必要が生じてしまい、ましてや今作、一男の心情を『後を追う形で描く』という、これまた時間のかかる手法を取り入れているワケです。
そのため、(九十九は一男とワンセットなのでともかく)せっかくお金の意味を教えてくれるという重要な位置付けをしたキャラクターがよく分からない存在で終わっていました。
『お金とはなんじゃらほい』を説明して消えていくキャラクター達。結局それだけなので、ただ説教臭いというイメージで終わらせてしまうのは何だかな、というカンジです。
今作、一男と九十九がメインとなる展開はどれも素晴らしいと思います。
ただ、お金関連がメインとなる展開がとことん普通で、良い所と比べた時の落差が大きいです。
『億男』のタイトルなのに、お金関連が「なるほどね」程度で終わってしまうのは、ちょっとどうかなって思います。
・・・というのも、今作のメインテーマはお金ではなく友情であって、そうなるのも当たり前ではあるんですね。
じゃあどうしろと言われても何も思い浮かばないですし、これが正解なんだと思います。
モヤモヤする作品だけど、それ以上良いものにするアイデアが思い浮かばない。そんな感じの映画でした。
つまりお金ってこういうものなんですね・・・・ってか。
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カメラを止めるな!【リズミカルさと爽快さ。ホラーじゃないホントのことさ】
2年前に口コミで広がったアレと同じ・・・・むしろそれ以上の勢いで話題と人気が広がり、未だTV露出が続き、上映館は増える一方。
100日超ロングランな勢いの『カメラを止めるな!』。
最悪な状況(お察しください)で観に行くのはさすがにカンベンなので、落ち着いてきた頃を狙って観に行きました。
なお、今回はちょっと背伸びしてネタバレもありますので、予備知識無しで観たい方は、読まないようにお願いします。
『ゾンビ映画の撮影をしていたらホントにゾンビがやってきた!!』を軸にしたストーリーの今作。
・・・これができる限りネタバレを避けたあらすじなんですが、これでは意味が分かりませんよね。
今作の魅力は、その『軸』の周りにあるものです。
何が言いたいって、上で書いたあらすじはただの氷山の一角に過ぎないワケです(30分超というずいぶんとデカい一角ですが)。
今作、大雑把に分けて2部構成になっています。
ただ、第1部と第2部の温度差が激しいんです。
全く別物の映画なんです。
ここから平気でネタバレしていきます。
まずは第1部。
内容としてはゾンビ映画。一切カット割りの無いワンカット風で、程よく内容があって程よくスカスカしている感じで、正直私が大好きなホラーです。
ワンカット風の作風はかなりおもしろく、リアルタイムでストーリーが進んでいるような臨場感が、非現実的な『第1部』にリアリティを与えていました。
正直、ちょっと怖かったです。
また、この第一部のポイントのであろう、解像度が荒くてギクシャクした異様にクオリティの低い映像に、これまたクオリティの低いゾンビ。
それに、作中至る箇所に明らかにおかしい描写があります。例えば、音声役のおっさんが突如挙動不審になりだしたり、 ちょこちょこ妙に長い間があるシーンがあったり・・・。
おかしな描写なんかはもはやマイナスポイントにしか思えませんが・・・・・実は、これら全てにしっかりとした理由があるんです。
そして『第1部』の壮絶で残酷なクライマックス、そしてスタッフロールの後に現れるタイトル。
いや『カメラを止めるな!』じゃないのかよ!!!!
そして、第2部が始まるのですが、なんと始まるのは第1部の後では無く、そこから1ヶ月前さかのぼって始まります。
市販のハンディカムで撮ったような第1部とは一転したちゃんとした作品(言い方が悪い)がしれっと始まります。
多くのテレビの再現VTRの監督を手掛けてきた、仕事も家庭も万年2流の意志の弱い映画監督のおっさん。そんな彼が顔なじみのプロデューサーから「ゾンビ映画専門のチャンネル設立記念で短編映画を作ってほしい」という依頼を受けます。
尺は30分。しかも1カット録りノンCMの生放送。まさに無茶ぶりも過ぎる程の企画をほぼ丸投げで押し付けられ戸惑うおっさん。
そしてタイトルがドン。
今から本編かよ!!!!
つまりは第1部がオープニングで、第2部が本編と言う感じです。
オープニングとは全く異なる本編ですが、登場したキャストが全然違うキャラクターで登場します。
本編の始まりの地点では、コレがオープニングと直接繋がるストーリーなのか、はたまた全く異なる世界のストーリーなのかは分かりませんが、ストーリーが進むにつれ、謎は次第に明らかになっていくワケです。
今作の上映時間は100分無いくらい。さらにオープニングが30分強ある為、本編は1時間もありません。
すると必然的に本編がギュウギュウになり、キャラクターを深く描くことはできませんし、まともに『間』の演出もできません。
ただ、今作はその短い尺を上手くまとめていて、上で書いてきた謎の解明や、キャラクターの描き方がかなりリズミカルになっていました。
今作は意外とキャストが多いです。尺が短いので、当然丁寧に描くことができるキャラクターも限られます。
しかし、今作はいわゆるステレオタイプのキャラクターで固めていて、登場人物全てが外見通りのキャラクターになっています。
だから一部キャラクターの紹介ををワンシーンで済ませられていて、その分オープニングの謎解明に時間を費やすことができていました。
キャラクターの描き方も凄い今作ですが、見どころはやはり多くの方が挙げている通り、クライマックス以降の次々に明かされていくオープニングの謎です。
クライマックスはオープニングの『ONE CUT OF THE DEAD』を別視点・・・つまり製作側からの視点で描くものになっています。
オープニングの「なんで!?」と思った展開全てにしっかり筋の通った回答が用意されていて、それが明かされるときの「なるほどなー」感がとてもおもしろかったです。
また、リズミカルさはクライマックスで一気に加速し、ノンストップで進む感じが今作のコメディ要素を引き立てていました。
また、生放送という失敗が許されない状況が、オープニングのとはまた別の臨場感を出していて、結末はそれなりに分かっているとはいえ、ハラハラドキドキしながら観ていました。
今作が結局どういう映画かと言うと、『結末を最初にバラした上で、それに向って進む物語』です。
言ってしまえばよくある映画です。
同じシーンをクライマックスで違う視点で描く。それ自体はたまーに見かけます。
今作もそういう類なんですが、上でも書いた通りオープニング(結末を最初にバラす)と本編(それに向って進む物語)の作風が全く違うんです。
今作がウケている理由って、そこだと思います。
途中で作風をバッサリ変えるというアート作品的で分かりづらい意思を、それなりにベターな手法で包むことで『独特なところがおもしろい作品』に仕上げているんです。
ちなみに私がこの作品がどういう話なのか予想したかというと、『ゾンビ映画を撮影していたらホントにゾンビが出てきた・・・という映画を撮っていたらホントにゾンビが出てきた!』という感じ。
「こんなんじゃあ大しておもしろくないんだろーな!!!」とか思ってたらしてやられたクチで、クライマックスは(座っていた席が私一人だったこともあって)静かにはしゃぎながら観ていました。
2つの視点で同じ時間を描いておきながら、いずれも主観的な作りになっているというのが、一番のインパクトした。
ただ、そう言っておきながら粗探りのケチをつけるのがこのブログの悪い所で・・・。
クライマックスこそ盛り上がって楽しいのに、エンディングが大人しすぎたかな・・・と思いました。
クセの強いステレオタイプなキャラクターを用意した今作。エンディングだからやれることやっちまえ!!とかやってくれると思いきや、
みんなが一つになった!やったー!あはははは!!
っという終わり方。
本編のテーマ性としては物凄く正当な終わり方ですが、クセまみれの作風なので、そこあっさりしちゃうのねという終わらせ方は結構物足りなかったです。
あと、コレは特に個人的なんですが、「また観たいか」と言われると微妙な感じです。
初回のインパクトが凄い。・・・とはいえ、
それは何も分かっていない初回の話であって、全部知っている状態の2回目はそんなにおもしろくないんじゃないの?
とか思って2回目は無いなって思っているのが現状です。
今作、初回がめちゃくちゃおもしろくて、騙されようが騙されなかろうが、種明かしのリズミカルさには驚きだと思います。
ただ、何度も観たい!というのには意見が分かれる感じで(そもそも同じ映画を複数回観ること自体珍しいですが)、ある意味人を選ぶ映画だと思います。
また、オープニングはホントに手持ちカメラで撮っているので、手ブレ上等ピンボケバリバリです。・・・酔います。
私、寝ころびながら(自慢)とはいえ一列目で観ていたので、めちゃくちゃ酔いました。でも劇場を出ないでください。オープニングが終われば普通になるので。
そんな今作、文字通りロングランの大ヒットしています。ガヤガヤしている時に観るのは禁物ですね。
落ち着いてきた時期に、レイトショーだとかで観るとおもしろいかなーって思います。
だってホラ、複数回見てる人多いからさ・・・・。
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ちなみに私、オープニング終わりで本気で吐きそうになってました。
でもビールは美味しかったです。