えいがきのえいが【90年代生まれ視点の映画レビュー】

90年代生まれ視点の映画レビュー 当ブログは個人的な意見をバカ正直に綴ったもので、映画の品質を保証するものでもありません。映画を否定しても、その映画に関わった人物を否定しているのではありません。例え人をバカにしても、それはその人を尊重した上での行為です。

ヴェノム【11年ぶり、ポシャったダークヒーローの復活だ!!】

アメイジングスパイダーマン2が中途半端にコケて、後の続編もスピンオフも全部ポシャった!!

せっかく臭わせまくったシニスターシックスや謎の男の正体も結局謎のまま!!



そう!ポシャったのだ!!!!





しかし、ポシャった企画は完全消滅するわけではない。

全く違うシリーズとして展開させてしまえば、ポシャった企画も復活させられる時もあるんだぜ!!!





ヴェノム [Explicit] (ミュージック・フロム・ザ・モーション・ピクチャー)




ソニーが抱えている『実写版の版権を持っているのにめっちゃ持て余しているキャラクター』第一位(私脳内調べ)のヴェノムが、ついに単独映画化。



ベースとなるはずの世界観はポシャり仕切り直し。プライドが邪魔をして素直にマーベル・スタジオにペろペろすることもできない。





素直に甘えなよ!!





そんな私の心の叫びなぞ届かず、ほぼソニー単独で製作された今作。

予告が公開されるものの、第一印象が・・・雲行きが怪しい!!



しかし、ヴェノムの姿が明らかになった時、ドスの効いた「We are VENOM」を聴いた時・・・・・もう舞い上がるくらいにテンションが上がりましたよ。







ただ、一つだけ大きな不安要素を残していて・・・・







これシリアス路線じゃない?






そんな不安を抱えつつ観た今作。



109シネマズ名古屋は、現在IMAXデジタルシアターが改装工事中につき、ヴェノムとボヘミアンラプソディのIMAX上映ナシ。イオンシネマ大高で観ました。やっぱイオンシネマのシート苦手!



でもそこまでしてでも観たいじゃないですか。意地でもIMAXで観たいじゃないですか。109とそんなに離れてないけど。




で、はじめに言っておきたいことがあります。



今作は『スパイダーマンの宿敵にして、最悪で残虐なスーパーヴィラン』というカンジのうたい文句で宣伝していますが、逆です。

たしかにスーパーヴィランではありますが、今作の主人公でもあるエディ・ブロックが変身するヴェノムは『スパイダーマンを正々堂々ぶっ殺したいマン』なんです。

それ以外の犯罪はやらない主義で、ましてやピーター(スパイディ)に決闘を申し込むために、彼のの自宅に行って、彼の叔母の家事手伝いをしながら帰宅を待つレベルです。



では、どうして今作ではあんなにも卑劣なキャラっぽい解説をするのか・・・?







そんなに意味はありません。





安心してください、

そんなに意味はありません。





なので、あまり不安に思わずに観てください。





今作、前回の登場(スパイダーマン3)の時とは打って変わって、喜ばしい事にわりかし原作に近いキャラクターで描かれていました。

ただ、設定がほとんど別物(だと思う)になっていて、まあスパイダーマンどころかスーパーヒーローがいない(と想定した)世界の話なのでしょうがない・・・・というカンジです。

とはいえ、『これはこれでアリ』というカンジにまとめられていました。





で、そんな『これはこれでアリ』という設定・・・作風の話ですが、今作は『寄s・・・(体内を食い尽くされる音)・・・もとい『共生』がテーマになっています。



そもそもヴェノムとは、スパイダーマンと共生していた地球外生命体のシンビオートが、スパイディに「こいつと一緒にいるヤバイ」という理由でむりやり引っ剥がされている時に、たまたま近くにいたピーターを逆恨みしているエディに乗り移って誕生したスーパーヴィランです。

ピーターに裏切られてぷんすかぴんなヴェノムと、ピーターに不正をチクられて逆恨みしているエディがベストマッチ。そんな感じでスパイダーマンぶっ殺したいマンが誕生したワケです。確か。





ただ、上でも書いた通り、今作はスパイダーマン抜きですので、当然この設定は使い物になりません。



というワケで、今作は『共生』を全面に押し出した作風になっていて、悪い言い方、本来のヴェノムとは違う(遠くはない)モノになっています。





ただ、今作の凄い所は、『これはこれでアリ』な所で、思っていたヴェノムとは違っていても「これもヴェノムだよね」ってなるんです。





今作、いわゆるダークヒーローモノで、予告からしてシリアス路線だよねコレという雰囲気がプンプンしています。

しかしフタを開けてみればあら不思議。陰湿さどころか複雑さも無く、むしろ明るい作品になっていました。





また、オリジンが原作をオマージュしたようになっていました。

原作では不正をするという完全な悪役ムーブをする主人公を、今作では頑張りすぎて逆に悪い方向に進んでしまう系の主人公に置き換えて・・・というアレンジが上手く、ちゃっかり『ズルして人生下り坂になったエディ』をしっかり描けていてと思います。





実は今作のヴェノム、アホの子です。

かわいいです。

かわいいです。

かわいいです。





理性もあるし普通にベラベラしゃべるし、なんだかんだいい子です。

あの予告は何だったんだよ!!

・・・・イイじゃんコレ!!

こんなカンジ。





今作、アクションシーンが結構印象的でした。

本格的にヴェノムの精神が現れた以降、あらカッコいい、あらかわいいのオンパレード。

スパイディ要素が無い=クモ糸が使えない。その変わりにヴェノム自身が形状を自由に変化でき、触手を伸ばしたり盾になったり・・・・。無駄なシーンになりがちなカーチェイスも、そういった能力を駆使し、スタイリッシュでカッコよく仕上がっています。

それに、肝心なヴェノム自体もマッシブで巨大なのに、ピョンピョン飛び回ってトリッキーに戦い、その上思春期の小学生みたいにグロテスクなこと言うもんで、クセが強いです。

今作、CGが全体的に暗く、低予算映画なのかなー?と思いきや、CGモデルの表情付けは並で、シンビオートのドロッとした動きなんかは結構作り込まれているように見えました。(CGは、明るいシーンだとディティールがはっきり見える為に誤魔化しがき効かず、動かせば動かすほど必然的に作り込むことになり、時間とお金がかかる。暗いシーンだとディティールが見づらい為、派手に動かしてもある程度誤魔化しが効き、その分時間がかからない。)

異形な地球外生命体として動かすなら、気持ち悪いくらい動かさないと・・・・ですし、それなら当然映像を暗くして胡麻化しますよね。

・・・・でもやっぱり明るい場所でヴェノムが観たかった!!というのはやっぱあります。

で、どれだけくらいかと言うと、通常の上映システムよりも明るくて鮮やかなIMAXでさえヴェノムのディティールが分かりづらいというくらい。ヴェノムのディティールを細かく見られるシーンが一瞬だったのは残念でした。。





思わせぶりな宣伝をしていって、実際のところ予告とは全然違う意味でおもしろい映画になっていた今作。

何年も待ってやっとヴェノムらしいヴェノムを観ることができましたし、私自身満足・・・というワケではないですが、お気に入りの出来に仕上がっていました。



ただ、やはりソニーピクチャーズの映画なだけあって、アメイジングスパイダーマンでの反省をあまり活かせていなかったな・・・・そもそも反省してないよねコレ・・・・という感じは強いです。





まず、この時代に単独世界(を想定とした)アメコミ映画だったという点。実写版スパイダーマンMCUの世界の住人になったのにもかかわらず、それの偽物的存在が別世界のキャラクター扱いになる、というのは私自身「さすがにソニーでもやんないでしょ」って思っていたので、確定されたときはもうビックリでした。

ただ、結果的にはおもしろかったですし、マルチバースの存在を本編で匂わせるシーンが一切無い・・・という事は、今後いくらでもテコ入れして無理やりMCUにぶち込めるというわけです。これに関しては、今後に期待ですね。トムとトムが共闘するシーンとか観たいですしね。



次に、描写が全体的にどの層をターゲットにしているか分からない所。

話そのものは面白いんですが、アクション映画特有のヘナチョコセキュリティとか、PG-12で抑えましたと言う割には、他のそれよりも徹底的にバイオレンス描写を見せなかったり、キャラクターの変化が物凄くトートツだったり・・・・。

それなのに予告はホラーっぽくてシリアスだし、オリジンは無駄にしんみりしているし、CGが目に優しくないし。

つまりチグハグな作りになっていて、ちょっと心に引っかかるような感じがしました。

でも結果的に面白かったですし、ヴェノムが可愛かったですし、アクションもカッ(略)



そして一番アレだったのが、オリジンが長い事。

いい加減覚えてソニー

2度目のオリジンは短くていいの。リブートのオリジンはほぼダイジェストでいいの。私はヴェノムもといシンビオートが見たいの。

上で書いたおもしろくなる所にたどり着くまで・・・・えっ、コレ大丈夫?・・・・・・・・・・・えっ、コレ大丈夫?!
・・・・で、ずっと不安な気持ちにさせられました。

でも結果的におもしろかったですし、ファンタスティック・フォーみたいなク(略)





今作、結果論的に言えばおもしろかったですし、作品の完成度も単独世界のMARVEL映画の中ではいい方だとは思います。

ただ、そのシーン、そのシーンで思い返せば微妙な点が所々見え、なんとも惜しい作品になっていました。





最近のアメコミ映画にしては、スタッフロール後のアレ以外何も匂わせないまま終わらせた今作。

この手法、意外と画期的に思えます。コケればそのままバッサリできますし、ウケれば単独世界のまま続編も作れますし、理由をつけて適当な世界と合流ができますしね。





今作、そういった可能性や拡張性がさり気なく置かれていて、将来性へのワクワク感(と不安感)が他の『シリーズ第一作』とはダンチに感じました。



次回作は結構期待できるかもですが、やはり心配になってくる、そんな作品です。





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