えいがきのえいが【90年代生まれ視点の映画レビュー】

90年代生まれ視点の映画レビュー 当ブログは個人的な意見をバカ正直に綴ったもので、映画の品質を保証するものでもありません。映画を否定しても、その映画に関わった人物を否定しているのではありません。例え人をバカにしても、それはその人を尊重した上での行為です。

仮面ライダー鎧武【奥深いストーリー。相対する意志。黄金の果実をめぐる戦い。】

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こっからは俺のステージだ!

ゴメンな姉ちゃん。俺もう・・・姉ちゃんの手料理食べられないや・・・。

 

俺は俺の道を選ぶだけ!運命など知ったことか!

頼られる事があっても、頼る事などは許されない。それがスイーツ系男子の宿命だ。

忘れるなよ坊主、いつだって最後に頼れるのはボイメンの強さだ。

 

紘汰さんのせいだ。紘汰さんに関わるとみんなおかしくなってしまう・・・。

黙ってろよ、クズ。

確かにあの人はヒーローだった。でも…もう紘汰さんはいない…だから僕達が、ヒーローにならなきゃいけないんだ!

悪臭ってのはね、ファブリーズで無くせるモノのことさ・・・。

 

この世界は理由のない悪意がいくらでも転がっている・・・。

 

パティシエ…なめんなよ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お前は・・・・本当に強い・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 ハイ、今回は久しぶりにシリアスな路線を走った作品の、

仮面ライダー鎧武

について話していきます。

 

 今作は、

・脱・2話完結

・原点復帰

・多数ライダー

などなど、様々な試みを持った、まさに『挑戦』的な作品です。

 

 脚本が『魔法少女 まどか☆マギカ』で有名な元(?)アダルトゲーム脚本家、虚淵玄であるために、発表当時には(いろんな意味で)相当話題になりました。

 もちろん、そんなだけあって多くの方が不安になり、多くの方がまどマギのようなストーリー=仮面ライダー龍騎の劣化版になるだろうと考えていたっぽいです(多数ライダー作品であるのも共通点だったですしね)。

 

 結果、確かにまどマギに近いストーリーでした。というより、男版まどマギでしたよ。うん。

 でも、龍騎の二番煎じ感というものはほとんどありませんでした。たしかに、影響は受けているそうですがね。龍騎はまだ見てないですけど・・・・・。

 


 

得点

  1. ストーリー:93
  2. テリング:78
  3. バランス:80
  4. キャラクター:100
  5. リズム:75
  6. カッコよさ:89
  7. 総合:88

 点数は100点満点の目安です。作品の面白さを保証するわけでもなければ、他記事との点数のバランスも考えられて付けられたものでもございません。

 


 

 ではでは、そろそろ話していきましょう。

 

 今作はかなり異色です。次回作のドライブでさえ異色でしたが、今作は2期ライダーの中ではかなり浮いてます。シリアスでも、明るさはしっかりと出す傾向の平成ライダー2期シリーズですが、今作は結構暗いテイストでした

 ストーリーが暗いだけあって、子供にはあんまりウケませんでした。しかし、大人からは超ウケましたVシネが4本作られた上に、ロックシードやフィギュアが放送終了後に1年以上出続け、変身ベルト2種が再版されたほどですよ。

 

 そんな大人ウケするストーリーを軽く説明していきます。

 


 

 時はライダー戦国時代(と言っても現代)、沢芽市では『ビートライダーズ』と呼ばれるダンスチーム達がいた。

 彼らは、かつて共にダンスを踊り合う仲であった。しかし、市内にある大企業、『ユグドラシル』によりビートライダーズ中に『ロックシード』という錠前が出回り、それで呼び出すことのできるインベスを使ったバトルがはじまる。そしてビートライダーズは、ロックシードによる陣取り合戦をし合うことになる。

 

 そんな中、チーム鎧武のリーダー、裕也が行方不明になる。主人公でチームガイムの元リーダー(現在は引退してフリーター)の葛葉 紘汰と、ヒロインの舞は裕也の創作中、空中に浮くファスナー、そしてその中にある謎の森を発見する。2人は中に入ると、ベルトのバックルのようなものを見つける。

 

 外に脱出する二人だが、そこで現れたインベスに遭遇、その時、舞にそっくりな謎の女と出会い、警告を受ける。紘太は先ほど拾ったベルトのバックルのようなものを腰に巻き、ロックシードをはめ込んで鎧武者へと変身し、インベスを倒すのであった。

 

 この謎のベルト、戦極ドライバーは、実はユグドラシルが開発したものであり、とある計画の一つであった。それを知らないビートライダーズ達は、戦極ドライバーによって戦いが激化していく・・・。

 その中、一部の人間がユグドラシルの陰謀に感付き、大企業の驚きの陰謀が発覚するのだった。

 しかし、そのユグドラシルの陰謀の裏で、さらに別の陰謀が動き始めていたのだった・・・・・・・。

 新たなシステム、ゲネシスドライバー。明らかになっていく『黄金の果実』の存在。謎の女の正体。

 はたして、戦いの末にたどり着くものは、黄金の果実を手にするものは・・・・。

 


 

以下、ネタバレ注意です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今作の面白い所は、どうでもいい話がほとんど無いというところ。最近、おもちゃの宣伝のために作られたような話が多い仮面ライダーですが、今作はほぼ毎話、ストーリーを少しづつ進めていくので、観ていてすごくウズウズしてワクワクします。

 


 

 勘のいいクソガキの呉島光実(以下:ミッチ)。正義感が強いバカな紘汰。ボイメン兼チームバロン、クールで強さを求め、正義感の強い頭のいい人、駆紋戒斗。

 その他にも様々なキャラクター、仮面ライダーが登場する今作ですが、レギュラーのライダーは全員しっかりとキャラクターが描かれております

 

 中でも個人的に気に入っているのはミッチです。

 彼はネットでも散々ネタにされるほど闇に飲まれていきます序盤では笑顔を振りまき、頭の悪い主人公を引っ張っていたのですが、話が進むに連れどんどん人が変わっていきます。

 その反動で、よく闇ミッチと言われることが多い彼です。もう、ほとんど悪役になっちゃいます。

 ミッチは作中、何度も子供向け番組にしてはヤバイ言動をします。そこも見どころです。なんせ、背後から隠れて攻撃しようとした結果、標的のライバルにキレられてボコボコにされるようなヒーローなんてなかなかいませんよ。

 ちなみに今作が放送中、闇ミッチの後にファブリーズのCMでミッチ役の高杉真宙が出てくるので、結構おもしろかったです。ヤバイ言動の後、CMで修造がお父さんの一般家庭(?)で生活しているというギャップ。狙ってやってますと言わんばかりです。

 


 

 上で書いた通り、キャラクターは完璧です。個性的で、各々、志を持ち、葛藤する姿がしっかり描かれています。

 

 思想の違いで憎み合い、対立し、時には共闘する。その中で見出したお互いの共通点。主人公だけが正しいことを言うのではなく、様々なキャラクターが正しいことを言う。それはお互いに矛盾し合う。

 などなど。個性的で、キュウベぇのように善悪がはっきりしない風に描かれているキャラクター達は、見ていてすごく楽しいです

 

 ファイズは「正義とは何か、悪とは何か」を描かれておりました。今作はそれに近いのですが違います。今作は「己の道を突き進む」です。

 特に葛葉紘汰と駆紋戒斗は思想が正反対であり、お互いに己の道を行き、ぶつかり合います。そこには憎みは存在しないという所がポイント。勧善懲悪では語れない、二人の関係は見ていてとても考えさせられます。

 


 今作、子供受けはしなかったものの、カッコよさは強いです。

 個々の能力を活かし、

  • 連撃、速攻の鎧武
  • パワフルなバロン
  • テクニカルで繊細な龍玄
  • 同じくテクニカルで隙のない斬月(・真)
  • パワフルで隙のないブラーボ

その他色々、統一性とハデなアクションがしっかりしていて、多少ワンパターン感があったものの、カッコよさには飽きがありませんでした。

 


 

 今作、脚本は全体的に自由に作られていると思います。得に第46話は。

 ひとつ前の話でバトルの途中で終わり、仮面ライダーらしい結構な盛り上がりがありましたが、続きの46話ではこの展開はあっさり片付きます

 46話は仮面ライダーのバトルではなく、葛葉紘汰と駆紋戒斗のぶつかり合いの末にたどり着くもの、黄金の果実がもたらすもの、文明の誕生と壊滅が主に描かれるものでした。そこには仮面ライダーっぽさは殆どないのですが、1年間続いた仮面ライダー鎧武を締めくくるストーリーとしてはかなり良いものでした。もう一話最終回がありますけどね。

 弱さを受け入れようとする葛葉紘汰と、弱さを乗り越えようとする駆紋戒斗

 弱い物は守り続けなければならないという葛葉紘汰と、弱い者が生きるためには強くなるしかならない世界を憎む駆紋戒斗

 人類の存亡のために戦う葛葉紘汰と、弱きものが存在しない世界=インベス(オーバーロード)が支配する世界を作るため戦う駆紋戒斗

 ホント、思い返すと葛葉紘汰と駆紋戒斗って正反対で彼らの関係って深いですよね。お互いに葛藤し、希望を抱き、絶望する姿。これらすべてがぶつかり合う46話、ホント面白いですよ。

 もう一つ、46話のおススメがありますが、あえて語らないようにしときますね。 

 


 

 子供ウケがどうであれ、大人にはウケましたし、ストーリーもしっかりと、キャラクターが丁寧に描かれていました。それは、脚本家が虚淵玄であったからこそなのだと思います。

 エロゲ作家だの劣化龍騎になるだの散々言われましたが、結果的に『意志のぶつかり合い』という、いかにも男(漢)らしくアツいストーリー展開が評価される作品となりました。役者にも恵まれ、キャスト全員がノリノリで制作に加わっていたカンジが、画面越しに伝わってきました。

 

 まどマギが深いストーリーであったため、今作はかなりシリアスでダークなストーリーになるだろうという高いハードルがあったのは確かです。そんな高いハードルは、どのライダーにも立ちはだかるものです。乗り越えられなかった作品だって多いです。

 そんなハードルを乗り越えるどころか、さらに上を飛んだのが今作だと思います

 

 今後、しばらくはこんなテイストの作品はしばらく出ないとは思いますが、現在放送中のゴーストより後の作品では、今作のようなテイストを、少しでも受け継いでほしいと思っています。

 

 

 

 

 

 

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